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飯野海運、ドライバルク船の好況で通期上方修正

2022年2月8日 (火)

(イメージ)

財務・人事飯野海運は8日、2022年3月期の通期連結業績予想を修正したと発表した。2021年11月9日公表の前回予想について、売上高を980億円から1030億円に、営業利益を45億円から59億円に、経常利益を51億円から68億円に、親会社株主に帰属する当期純利益を83億円から100億円に上方修正した。

ケミカルタンカー事業で高運賃スポット貨物を獲得した。ドライバルク船市況が想定より高い水準で推移したことに加えて、足元の海運市況も堅調に推移したことから、通期で当初予想を上回ると判断。業績予想の上方修正に踏み切った。

2022年3月期の配当予想も修正。期末配当額を1株あたり12円から18円に引き上げた。第2四半期末の11円と合わせて、年間配当は29円となる。

同日発表した2022年3月期第3四半期累計連結決算は、売上高が前年同期比15.3%増の760億3500万円、営業利益が17.2%減の46億1700万円、経常利益が3.2%減の52億2300万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が54.7%増の83億1800万円となった。

外航海運業は、売上高が前年同期比17.4%増の601億9800万円、営業利益が54.9%減の10億2800万円で増収減益だった。大型原油タンカー市況は船腹供給圧力が強く低迷した一方で、ケミカルタンカー市況はアジアで需給が締まり運賃が上昇。その他の地域でも冬場に入って輸送需要の増加で市況が回復した。

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大型ガス船のうち、LPG(液化石油ガス)船市況は、中国におけるプラント稼働やパナマ運河での滞船による船腹需給の引き締まりで堅調に推移。LNG(液化天然ガス)船市況は、中国を中心とするアジアにおける石炭から天然ガスへの発電燃料の転換による需要増加に加えて、欧州でロシアからの天然ガス供給減を背景とした米国からの輸送需要の増加がみられたことから、秋以降は高い水準を維持した。

ドライバルク船市況は、先進国の経済活動回復で依然として高い水準で推移しているものの、原材料価格の高騰や中国における粗鋼生産量の減少を背景に一部で荷動きが減少した。

内航・近海海運業は、売上高が7.9%増の69億2100万円、営業利益が1.4%減の3億8500万円で増収減益だった。内航ガス輸送の市況は、石油化学ガスの底堅い転送需要に支えられ概ね堅調に推移。産業用LPGのプラント間転送需要は堅調に推移した一方、民生用LPGは感染症拡大による外食や観光産業需要の減少で輸送需要は低調だった。近海ガス輸送の市況は、主要貨物であるプロピレンや塩化ビニルモノマーの国内生産量が中国向け輸出関連需要に牽引され、夏場以降は堅調に推移した。