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小学館雑誌「幼稚園」、物流の「知恵の結集」体験できる付録

幼児向け配送ドライバー「台車パズル」に大人も夢中

2022年2月15日 (火)

話題園児の知育学習雑誌として知られる小学館「幼稚園(ようちえん)」3月号付録の、大手宅配便会社とコラボした「台車パズル」に、物流にかかわる大人たちも夢中になっている。配送ドライバーが使う台車の持ち手やタイヤ、段ボールなど細部にいたるまでプロが舌を巻くほど本格的で、話題を聞きつけたLOGISTICS TODAY編集長のA(50)が15日、パズルの組み立てに挑戦。童心へと帰った。

話題となっているのは、小学館発行の「幼稚園」最新号の付録の、ヤマト運輸とコラボした「クロネコ台車パズル」だ。本物そっくりなデザインの台車と荷物が13個ついていて、13個の荷物を台車にきっちり積み込めたら完成だ。荷物の箱は開閉できるため、完成後は、好きなものを入れて「お届けごっこ」も楽しむこともできる。

幼い頃から車などのプラモデルを組み立てるのが大好きで、物流の取材一筋の編集長A。書店をはじめ5軒目に回ったコンビニエンスストアで「幼稚園」をようやくゲットするやいなや、中身も読まずさっそく台車作りを始めた。

「雑誌のために付録があるのではない。これは付録ではなく『本録だ』」などと格言のようなつぶやきをしながら、まずは台車の土台部分にとりかかった。

園児対象の付録なので、大人なら順調にいくのかと思いきや、タイヤをつなぐストローのような軸が台車のなかに入り込んでしまい、取り出せなくなるというアクシデントが発生。

作り直すとツメの部分などの補強が弱くなり、全体の見栄えにも大きく影響してしまうらしく、何度も「悔しい」といいながらも、気を取り直して作り直すことを決意。

「タイヤを歪ませず装着できることが、プラモデル作りのいちばんの肝」らしく、魂を細部にまで宿らせながら無事、タイヤ4つをつけた台車をやっと完成させることができた。

それからも本物顔負けの持ち手や台車の本体などを、作り方の説明書を見ながら、テープなどで補強しながら完成させた。

編集長Aによると、「物流」というとトラックや倉庫といったイメージを持たれることが多かったが、付録を開発した小学館が、トラックや倉庫ではない「ラストワンマイルのさらにまた先」でも担うカゴ台車を取り扱ったことについて、「物流のイメージがここまで身近となり、市民権を得たのか」とぞくぞくとした衝撃を感じたのだという。

台車完成の喜びにひたるのも束の間、それからは13個もの段ボールや封筒などの組み立てを始めた。編集長Aは、カニを食べるときに黙るタイプらしく、基本無言で組み立てていく。

だが、途中、段ボールの底が本物とまったく同じ組み立て方であることなど、段ボールであることに妥協せず、一つひとつのパーツの精巧さにもこだわった想像を上回るつくりに「すばらしいね」「これは秀逸」などと絶賛。

「これ、将来的には紙じゃなくて、頑丈なおもちゃができたら、何度でもやれちゃうよね」などとノリノリに手先を動かし続けていく。

段ボールがそろったら、次は、いかにうまく全部入れていくかと考える。大きいものから下から順に入れながら、あれこれ試しながら、ついに完成。

せっかくなので荷物という名のお菓子を入れて、同僚へと「お届け」した。

業務の合間での約2時間という限られた時間ではあったが、童心へと帰ることができたと満足げな様子だった。

編集長Aは、「届けることの価値を見つめ直すことができたとともに、物流が単にモノを右から左に動かすのではなく、いかに最短距離で、効率的に動かすことができるかという、『知恵の結集』であることを幼少期から体験できる、すばらしい付録だ」と台車パズルの体験を振り返った。

小学館・幼稚園編集部 大泉高志さん
「荷物届くまでのたくさんの努力、知ってもらえたら」

小学館の担当者で幼稚園編集部の大泉高志さんに、今回の付録開発の背景などを聞いた。(編集部・今川友美)

最近の「幼稚園」の付録は、「街でよく見るもの」「お子さんが触りたいけど触れないもの」をコンセプトに作っている。

運送会社の台車は、街でよく見かけるものだったため、いつか付録にしたいと思っていた。

だが、ただミニチュア化するだけでは、付録としては不十分で、何かしらの「遊び」が必要だった。

考えているうちに、段ボールをきっちり詰める「立体パズル」ができるなとひらめき、コラボ先の企業に相談した。

もうひとつは社会的背景だ。コロナ禍で家に荷物が届く機会も増え、子どもも「配達してくれる人」に触れ合う機会が多くなったため、今かなと。

子どもには、家の人にヒントを出してもらいながら、達成感を味わってもらったり、お菓子やおもちゃなどを詰めて「お届けごっこ」も楽しんでほしい。

さらに、荷物が届くにはたくさんの人の努力があることも知ってもらいたくて、付録と同時に、宅配便が届くまでをテーマにした特集ページも設けた。ぜひ読んでほしい。

最近では「置き配」など、配達している人の温度を感じられない場面も多く、そこを埋めることができたらうれしい。

今回の付録はあまり複雑ではないため、子ども一人で組み立てられたと達成感を味わっていただけたかもしれない。

「お届け遊び」はごっこ遊びが好きな子どもにとって、実在する物流会社の本物の台車と段ボールを使っての遊びは、テンションが上がったようだ。

実際に、配送ドライバーがSNSで「配送先で子どもが今回の付録を見せてくれた」という発信も目にした。ドールやフィギュアを撮影する方にも小道具としてお買い上げいただくなど、「幼稚園」としては想定外ではあるが、物流にたずさわる大人にも喜んでもらえたら、何よりだ。