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矢野経済研究所調べ、過去10年で1.6倍に

医薬・医療機器の外注市場規模は20年度1100億円に

2022年2月16日 (水)

調査・データ矢野経済研究所(東京都中野区)は、医薬品・医療機器材メーカー物流の2020年度のアウトソーシング市場規模は、前年度比3.8%増の1100億円となったとする調査結果を発表した。市場規模も11年度比で1.6倍に伸びており、医薬品・医療機器材等の出荷量と物流関連企業等への委託率の増加などにより、堅調な推移を示していることがうかがえる。

調査は昨年11月から今年1月にかけて同社専門研究員が物流関連企業に直接またはオンライン面談、電話、電子メールによるヒアリング形式で実施。国内の医薬品・医療器材物流アウトソーシングビジネス、医療器材通信販売ビジネス、中古医療機器流通ビジネスなどを調査した。

その結果、20年度の国内医薬品・医療器材のメーカー物流アウトソーシング市場規模(受託企業売上高ベース)は、前年度比3.8%増の1,100億円だった。

医薬品・医療器材等の出荷量および物流関連企業等への委託率の増加、委託業務範囲の拡大などが続いており、アウトソーシングサービスの市場は堅調に推移。市場規模も2011年度比で1.6倍に伸びているとする市場概況を明らかにした。

(出所:矢野経済研究所)

調査では近年、医薬品・医療器材の物流管理サービスへの参入は増加していることも明らかになった。とくに大手の物流・倉庫企業等による本分野を対象とした大規模な物流センター開設投資が目立つ。

製薬企業等では外部委託先の選択肢幅が広がり、現契約先の見直し検討機運なども認められた。

2018年12月、厚生労働省から医薬品流通基準に関し日本版GDP(Good Distribution Practice)ガイドラインが発出され、医薬品の物流業務についてもGDPに基づく品質管理が求められるようになった。GDP対応可能かどうかは外部委託先選定の重要なポイントだとしている。

調査結果を受けて同社は、医薬品・医療器材のメーカー物流業務アウトソーシングの観点では、業界内の外部委託比率は6割以上になっていると言われており、物流関連企業の新規開拓先は限定される方向にあるとする将来展望を明らかにした。

(イメージ)

ただし、医療分野は景気変動の影響を受けにくいこともあり、物流関連企業にとってその受託事業の安定性は、引き続き魅力的であるとしている。

最近では、個別企業の物流のあり方に限らず、業界全体のサプライチェーン最適化を目的とした、本格的なデジタルプラットフォーム導入のための議論なども生まれている。

一方、医薬品卸売業等においては、メーカー物流から患者等への末端流通にいたるまでの関与の動きが顕著になっている。

とくに再生医療等製品などでは商流と物流を一体で捉える必要性が高まっており、卸売業と物流関連企業との緊密な連携が求められるとしている。