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セイノーHD、西濃が地域3社を合併し幹線輸送強化

2022年4月1日 (金)

M&Aセイノーホールディングス(HD)は1日、グループの西濃運輸(岐阜県大垣市)が関東西濃運輸(群馬県安中市)、濃飛西濃運輸(岐阜県関市)、東海西濃運輸(岐阜県土岐市)の3社を2023年4月1日付で吸収合併すると発表した。完全子会社間の統合を実現することで、強みとする企業間物流のネットワークのさらなる強化を図るとともに、より効率的で柔軟な物流サービスの提供体制を構築することで、グループの持続的な成長につなげる。

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企業間物流を主力とするセイノーHDグループは、全国の輸送グループ各社による特積みネットワークを中心に事業を展開するビジネスモデルを構築。そのネットワークはエリア内での集配業務と拠点間を結ぶ幹線業務の2つの領域に分かれている。

集配業務は、グループ各社が地域特性に合わせた独自サービスを展開することにより、顧客ニーズを反映した取り組みに注力してきた。各拠点を結ぶ幹線業務においては、グループ各社をつなぐ輸送網を強化することにより、差別化を推進してきた。

こうした取り組みは、地域密着型の物流サービス提供には大きな効果を発揮したものの、グループ各社における独自サービスや特色は個別地域の特性にとどまり、幹線ダイヤも各社の個別最適を優先した設定になりがちで、全国ネットワークを充実させる方針に必ずしもそぐわない形態になっているのが実情だった。

セイノーHDは、今回のグループ間の合併に踏み切ることにより、こうした幹線輸送の抱える課題の解決を図るとともに、4社がカバーするエリアにおける効率的で柔軟性のある物流サービスの提供につなげる。幹線ダイヤを再編するとともに、車両の運行効率の全体最適を加速する考えだ。

セイノーHDのグループ再編、「地域密着」と「全国ネットワーク強化」を両立するハイブリット型経営が新時代の物流サービスだ

セイノーHDグループが、全国ネットワークの構築に向けたグループ再編に踏み切った。社会における生活・業務スタイルの多様化に加えて、新型コロナウイルス感染拡大に伴う宅配ニーズの高まりで、EC(電子商取引)による商品購入が定着。こうした動きに対応できる物流サービスの構築を加速するためにも、幹線輸送の効率化・最適化は喫緊の課題になっていた。

セイノーHDが西濃運輸を存続会社とするグループ4社統合を決断したのも、こうした危機感が背景にある。セイノーHDグループは、地域ごとにグループ会社を展開して地域特性に応じたきめ細かい物流サービスを提供することで、大手物流企業のなかでも特色ある存在感を示してきた。

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物流ビジネスが全国ネットワークよりも、特定の地域仕様に特化した「オーダーメード型」を求める傾向の強かった時代には、強力な差別化を図れるビジネスモデルとして機能した。しかし、ECサービスの台頭などによる輸送網の急速な拡大が顕著になると、逆にこうした独自のモデルは足かせになってきた。

裏を返せば、セイノーHDは社会の物流ニーズに適応したビジネスモデルへの転換を図るための柔軟な経営体質を構築する好機にもなる。むしろ、地域密着型の物流サービススタイルも残しながら、オールジャパンの輸送体制も強化するというハイブリッド型の総合物流グループとして再出発する。そんな言い方が適切なのかもしれない。

物流サービスは、その時代の生活スタイルや企業トレンドをいち早く反映しながら、柔軟に対応していく必要があることを示している。(編集部・清水直樹)