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アマゾン、大和ハウスの物流拠点で献血活動展開

2022年4月5日 (火)

環境・CSRアマゾンジャパン(東京都目黒区)は5日、大和ハウス工業の物流施設シリーズ「DPL」(ディープロジェクト・ロジスティクス)に入居する物流施設で、献血活動を展開する方針を明らかにした。

消費スタイルの多様化で国民生活に定着しているEC(電子商取引)サービスを手がける代表的な企業として、社会貢献を重視する企業姿勢を鮮明にするとともに、従業員のモチベーション向上にもつなげる狙いがある。

アマゾンジャパンは献血活動の第1弾として、「坂戸フルフィルメントセンター」(坂戸FC)の入居するDPL坂戸(埼玉県坂戸市)内の従業員休憩スペースを活用して、献血活動を実施。同センターのほかDPL坂戸に入居する他の物流施設の従業員計125人が参加した。

アマゾンジャパンが献血活動の実施に踏み切ったきっかけは、坂戸FCのある男性従業員の発案だった。2年前から社会貢献として献血に参加していた坂戸FCの関和彦シニアエリアマネージャーは、新型コロナウイルス感染拡大で献血の協力者数が落ち込んでいることを知った。献血の参加者を探す方策を思案していた関さんは、勤務先の坂戸FCの仲間に呼びかけたらどうかと考え、ことし2月中旬にアマゾンジャパン従業員でつくるボランティアネットワークに社内での献血イベントの実施を提案した。

▲献血を受ける関和彦さん。今回の献血イベントの発案者だ

ボランティアネットワークメンバーは、関さんの提案に全会一致で賛成。小児がん啓蒙イベントなど従業員のボランティア活動を推進するアマゾンジャパンもその趣旨に賛同し、わずかひと月あまりで実現にこぎ着けた。

アマゾンジャパンは坂戸FCでの献血実施にあたり、大和ハウス工業にも趣旨を説明し理解を求めた。大和ハウス工業も強く賛同。DPLの他拠点に入居するアマゾンジャパンのFCにも献血活動を展開することで一致した。

関さんは「私の発案が、ここまで広がりを見せるとは思わなかった」と驚きながらも、「あらゆる取り組みがスピーディーなアマゾンジャパンだからこそ、実現した取り組みだと思う。働く意欲を高めるためにも、今後もボランティア活動に積極的に関わっていく」と意気込んでいる。

大和ハウス工業も、こうした献血の取り組みを歓迎。東京本店建築事業部の村上泰規・副事業部長は「従業員だけでなく地元住民も対象とした献血活動を展開できれば」と話す。

▲アマゾンジャパンの献血活動開始をアピールする、アマゾンジャパン坂戸FCの松下覚哉サイトリーダー(右)と、大和ハウス工業東京本店建築事業部の村上泰規・副事業部長

アマゾンジャパンの献血活動、社会における物流の果たす役割の「進化」を物語る

アマゾンジャパンが献血活動を推進する狙いは、現場業務を担う従業員に対する社会貢献意識の機運を高めてもらうとともに、就労意識の高揚を図ることにある。その根底にあるのは、アマゾンジャパンが掲げる物流拠点展開における、あるスローガン(方針)だ。

(イメージ)

「地域の課題を解決する」。アマゾンジャパンは、フルフィルメントセンターに代表される全国50か所の物流関連拠点を展開するにあたっての基本方針をこう定めている。豊富な商品ラインアップを揃えたECサイトでの注文商品を、いかに正確で迅速に届けるか。それはアマゾンジャパンのビジネスの基本だ。しかし、それは拠点を置く地域との相互理解があって初めて成立する。それが、アマゾンジャパンの「理念」なのだ。

今回の献血活動は、まさにその理念を具現化した取り組みの第一歩と言える。それが実現したのは、入居する施設の家主である大和ハウス工業が同じ理念を掲げていたからにほかならない。物流施設は地域との相互理解があって初めて、本来のサプライチェーンの一翼を担う機能が発揮されるのだ。こうした発想が、もはやスタンダードになりつつある。

「物流は社会に不可欠なインフラだ」そんな言葉は、もはや説明もいらないほどに広く深く認知されている。その概念は、さらに進化しているのだと思う。「物流は社会に新しい価値を提供していくのだ」。アマゾンジャパンが大和ハウス工業と連携して始めた献血活動は、物流ビジネスの役割が進化し続けていることを明確に示している。(編集部・清水直樹)