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豊田自動織機、冷凍・冷蔵倉庫仕様の無人フォーク

2022年4月22日 (金)

サービス・商品豊田自動織機は22日、冷凍・冷蔵倉庫での使用を想定し、急激な温度変化への対応力を高めた自動運転フォークリフト「Rinova(リノバ) AGF 冷凍冷蔵仕様」を発売したと発表した。マイナス25度からプラス10度までの温度帯のゾーンを頻繁に行き来する搬送作業に対応できる結露防止などの機能を搭載。EC(電子商取引)による宅配需要の高まりを背景に冷凍・冷蔵倉庫の整備が全国で加速しており、こうした動きを先取りした製品展開の推進による物流業務の効率化支援につなげる。

▲Rinova AGF 冷凍冷蔵仕様(出所:豊田自動織機)

全国40社のトヨタL&F取扱店を通じて市場展開する。豊田自動織機は物流関連ビジネスを成長領域の一つに掲げており、今回の冷凍・冷蔵倉庫仕様の自動運転フォークリフトもこうした取り組みの一環だ。

豊田自動織機は、ECサービスの普及による食品など冷凍・冷蔵品の宅配ニーズの高まりや、細かな温度管理が求められる医薬品などの輸送ニーズが今後、さらに高まると予測。一方で、冷凍・冷蔵倉庫内での搬送作業では、急激な温度変化で生じる結露やもやがフォークリフトの駆動や走行に支障をきたす課題があった。さらに、低温下での作業は従業員への負担も大きいことから、自動運転フォークリフトのニーズも高まっていた。

豊田自動織機は、こうした課題に対応した自動運転フォークリフトの開発に着手。ニチレイロジグループ本社(東京都千代田区)と共同で実施した実証試験の結果も踏まえて、冷凍・冷蔵ゾーン間の移動によるボディや駆動系の耐久性や有人フォークリフトとのスムーズな共存について検証し、このたびの製品化につなげた。

物流のホットなキーワード「冷凍・冷蔵」をビジネス機会と捉えた先見性に勝機あり

消費スタイルの多様化が物流のあり方を変えた――。新型コロナウイルスの感染拡大が顕著になった2020年春以降、こうした声がしばしば聞かれるようになった。それから2年。消費スタイルはさらにその姿を変えて、傾向がより細分化されてきた感がある。そのキーワードの一つが「冷凍・冷蔵」だ。

(イメージ)

物流倉庫の業界で、冷凍・冷蔵機能は実に“ホット”な話題だ。コロナ禍による外出自粛ムードは、食品の宅配購入スタイルを決定づけた。そこで脚光を浴びたのが冷凍・冷蔵倉庫だ。食品を配送する際に、基本的に冷凍・冷蔵機能が欠かせない。しかし、冷凍・冷蔵設備を置いている一般的な倉庫は希少である。冷凍・冷蔵倉庫を専業とする企業は、取扱量が急増し機能拡充が追いつかない盛況ぶりだ。

こうした動きが加速するなかで、必然的に生まれる課題。豊田自動織機がビジネス機会として着目したのは、冷凍・冷蔵倉庫での搬送業務の最適化を支援するシステムの開発だった。それは温度変化への耐久性を高めた自動運転フォークリフトとして結実した。

新しいトレンドが浮上すれば、必ずそこに課題が生まれる。その解決に向けた取り組みがビジネス機会を創出する。このサイクルの繰り返しにより、社会は発展していく。その典型が、まさに物流だ。(編集部・清水直樹)