ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

日立製作所、KKRと日立物流売却で正式合意

2022年4月28日 (木)

▲オンラインで記者会見する日立物流の(右から)中谷康夫会長、高木宏明社長ら

M&A日立製作所から米大手ファンドKKRへの日立物流の売却について、3社は4月28日、正式に合意した。日立製作所は今秋をめどに保有する日立物流株をKKRに売却。KKRは残りの株式について公開買付(TOB)を実施し、最終的に発行済み株式の90%を取得する。KKRは中長期的に日立物流を継続保有する方針で、豊富な海外ネットワークを生かして企業価値を高めたうえで再上場も検討する。日立製作所も改めて10%出資することで、日立物流との事業面の関係を維持する。

日立物流株のTOBはことし9月下旬をめどに、KKRの特定目的会社を通じて実施する。買付価格は平均株価に66.22%上乗せした1株あたり8913円とする。日立製作所はTOBとは別に、保有する40%の日立物流株をKKR側に2220億円で売却。その後、特定目的会社を経由する形で10%の再出資を行う。日立物流株は上場廃止となる。

3社はこれに合わせて資本業務提携を結び、事業面のシナジーを追求することでも合意した。

日立物流の中谷康夫会長兼CEO(最高経営責任者)は28日の決算記者会見で、今回の買収が日立製作所の意向によるものだったと説明した上で「当社の成長戦略に資する」と述べ、賛同を表明した。同社は北米など海外でのM&A強化を成長戦略の柱に位置付けているが、「これまでは伸ばし切れていなかった。KKRとの協業は有効だ」と評価した。

また、日立物流とKKRは今後、ほかの事業会社による同社への出資を検討することでも合意。中谷会長は「取引先企業との関係強化のために資本を持ってもらう可能性はある。大きな出資比率にはならず、10%以内と考えている」と述べた。