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「ジャパントラックショー2022」直前特集

物流現場から紙なくせ、自動化ツールのカミナシ

2022年5月11日 (水)

話題物流現場から「紙」による非効率をなくそうと、自動化ツール「カミナシ」を展示するのは、サービス名と同じ社名のカミナシ(東京都千代田区)だ。あらかじめ用意された指示(コマンド)を組み合わせてさまざまな使い方を可能にするツールだが、トラック運送業向けには、車両の日常点検管理、乗車前点呼記録、健康状態チェックなどへの利用を想定している。

▲カミナシの主な機能(出所:カミナシ)

取材に対応してくれた同社の田島巧平氏は「当社CEOの諸岡(裕人氏)が食品工場を家業としていた関係で、これまでは食品製造業による導入事例が多かった」と、システム面で特に食品向けの機能があるというわけではないにもかかわらず「食品衛生面の知見の深さ」が同社の強みにもなっている背景を説明する。

▲カミナシの田島巧平氏

具体的には、食品の製造過程で発生する可能性のある衛生・品質上の危険性を分析し、それに適した監視対象を決めて食品のサプライチェーンを管理する仕組みであるHACCP(危害分析重要管理点方式)対応の必要がある利用者に対して、同社の知見を提供できるほか、危険物を取り扱うためのチェックリストなども簡単にひな形化できるという。

物流業務では、フォークリフトなどの車両やマテハン機器のメンテナンスや保管備品チェック、パレット破損の有無などを確認するためのツールに採用されている。

同社を含め、これまで紙でチェックしながら点検していた作業をタブレット端末やスマートフォンに置き換えることで、異常があれば警告情報を自動発信するなど、リアルタイムに異常を検知できる体制を整備した事例も散見される。

多彩な活用方法がカミナシの特徴だといえるが、アンケートフォームをつくる感じで手軽にオリジナルの帳票やチェックリスト、管理フォームなどをプログラミングなしでつくることができる、使い勝手のよさもポイントだ。

デモ画面では、帳票を作る際に「質問」作成画面で選択肢を設定・入力していき、「こういう回答が選択された場合はAさんとBさんの2人にアラートが飛ぶ」といった、アンケート作成画面のような感覚でフローを作成していく。

▲フローを作成する画面のイメージ

田島氏は「今回、トラック運送業向けにカミナシを出展するのは、『物流の2024年問題』への対応を意識したというのが最大の動機だ。運送業は人材を確保しにくい業界。少ない人数でいかに効率的に業務していくのか、デジタルの力で支援できないかと考えた」と話す。人手不足の改善にカミナシで貢献したいという考えだが、人手が不足しにくくなるようなアプローチも念頭にあるようだ。

「トラックドライバーなど現場で働いている人に新たなチャレンジの機会がないのも、運送業界の課題だと思っている。だから若者が入ってこないという側面もあるだろう。カミナシを通じて『これをこうしたらもっと効率化できるんじゃないか』という機会を提供したい」(田島氏)

現時点でほかのITシステムとの連携サービスは設定されていないが、今後、ニーズに応じてIoTや基幹システムとの接続も視野にある。これまで物流業界向けにしっかりアプローチしたことはなかったが、今回の出展では、カミナシを使って車両点検を手軽に行うというニーズを確かめつつ、サービスの認知度を高めたい考えだ。