ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

輸送中の荷物温度をラベルが自動測定、凸版印刷

2022年5月16日 (月)

サービス・商品凸版印刷は16日、長距離輸送中の荷物の温度を自動で測定・記録し、クラウド上で管理する無線通信ラベルを開発したと発表した。ことし6月に発売する。これまでの測定機器に比べて導入コストが10分の1で済み、生鮮食品など要冷蔵製品の輸送品質向上に向けて活用を提案する。

▲温度ロガーラベル(出所:凸版印刷)

この「温度ロガーラベル」は縦5.4センチ、横8.55センチ、厚さ1ミリの薄型カードサイズ。温度測定と通信機能の付いたICチップと、使い切りバッテリーが内部に挟み込まれている。荷物の箱に貼り付けると、表面温度の変化を一定時間ごとに自動で測定・記録する。輸送の経由地で無線を介してパソコンやスマートフォンでデータを読み込み、クラウドシステムに送ることで、荷物の温度変化を追跡・管理できる。測定温度はマイナス35度からプラス50度まで。記録間隔は、例えば10分おき、30分おきなどと選べる。

こうした温度管理には、従来は1台数千円から数万円する機器が必要で、全ての梱包に装着するのはコスト的に難しかったほか、電池交換や使用後の回収の手間もあった。このラベルは基本的に使用後に回収しない使い切り。操作画面や端子も省くなどして10分の1の低価格を実現した。

凸版は、肉や魚といった要冷蔵食品や、酒など厳しい温度管理が求められる冷蔵・冷凍物流の管理ツールとして売り込む。特にコールドチェーンが未整備な海外への国際物流での活用を狙う。2021年度後半に実証実験を行い、日本酒を日本の酒蔵からトラックと海上輸送を経て中国の複数都市まで、プラス5度以下に保ちながら輸送した。

▲温度ロガータグ活用イメージ(クリックで拡大)

凸版は、これらの温度管理ソリューション事業で23年度に5億円の売り上げを目指す。既存のID認証プラットフォームも生かしながら、温度管理にとどまらず、製品の本物と偽物の判定やトレーサビリティー(追跡可能性)関連のサービスも組み込むことを検討している。