サービス・商品シーテックヒロシマ(広島県呉市)は17日、中国地方を中心に軽貨物輸送を展開するNSB(広島市安佐南区)と共同で、船の乗組員向け配送事業の実証実験を開始したと発表した。ことし8月15日まで実施する。実証実験の開始に伴い、荷物を配送を希望する個人・事業者を募集している。
シーテックヒロシマは、海に関わる課題を形式化し先端技術を活用して解決につなげるプラットフォーム「Seatec HIROSHIMA」(シーテック・ヒロシマ)を開発。海のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を旗印に、船の乗組員に荷物を確実に届ける「海のラストワンマイル配送」の実現に向けた実証実験を始めることとした。
貨物などを運ぶ船舶は、遅延による多大なペナルティを回避するため一年のほとんどを休みなく海上で過ごすことから、生活必需品など最低限の補充も着港のわずかな時間で行う必要がある。こうした乗組員向けの配送は、住所が不定で時間を融通し難いことから運送業者に忌避される傾向にあるなど、日用品や必需品、嗜好品の配送による補充は非常に困難だった。
シーテックヒロシマはこうした課題に着目し、海のラストワンマイル配送の最適化を図る取り組みを考案。今回の実証実験では、足りなくなった日用品を指定された時間に着港予定の港へ配送。着港できなかった場合はシーテックヒロシマで保管またはNSBによる別の港への配送も可能とする。膨らみがちだった輸送コストを抑えるとともに、届かないことへの不安の解消につなげる。海のラストワンマイル配送エリアは、広島市を起点に山口県徳山市から広島県福山市までとする。
シーテックヒロシマは今回の実証実験にあたって、船舶事業に従事する個人・事業者を問わず「荷物が届かない」こと課題を抱える事業者を募集する。