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KDDI系とエアロネクスト、ドローン配送でタッグ

2022年6月20日 (月)

ロジスティクス物流ドローン開発に取り組むKDDIスマートドローン(東京都港区)とエアロネクスト(同渋谷区)は20日、主に過疎地域を対象としたドローンによる地域配送システムを共同で販売すると発表した。機体と操縦システムをパッケージ化し、ことし8月から全国の地方自治体など向けに提供する計画で、受注を受け付けている。ことし12月に解禁予定のレベル4(有人地帯での補助者なし目視外飛行)に向け、有力2社がタッグを組み、実績の積み上げや課題解決を加速させる。

▲エアロネクストとACSLが共同開発した物流専用ドローン「AirTruck」(出所:エアロネクスト)

両社の発表によると、このパッケージサービスは「AirTruck Starter Pack(エアトラック・スターター・パック)」。エアロネクストがACSL(同江戸川区)と共同開発した物流専用ドローンの機体「AirTruck」(エアトラック)を、KDDIスマートドローンが開発した遠隔制御と長距離飛行のシステム「スマートドローンツールズ」で操作する。

地方自治体を主な顧客に位置付け、過疎化で食料品など日常の買い物が困難な「買い物弱者」への支援ツールとしての利用を想定している。現在、国が認めているレベル3(無人地帯での補助者なし目視外飛行)環境で利用を始め、レベル4解禁後を視野に実績を積み重ねる考えだ。

両社はこれまで別々にドローン配送技術の開発を進めてきた。KDDIスマートドローンは他社が開発・製造した機体を使い、KDDIグループが強みを持つモバイル通信やクラウド技術を駆使して各地で配送実験を重ねてきた。2020年8月には長野県伊那市で国内で初めてドローン配送を実用化した。エアロネクストは21年11月に山梨県小菅村でセイノーホールディングス(HD)と共同で実用化し、北海道上士幌町や福井県敦賀市でも実証実験を行なっている。KDDIスマートドローンとエアロネクストはことし3月に新潟県阿賀町で初めて共同で配送実験を行い、それを足掛かりに協議を重ね、協業を全国規模に広げることで合意した。

今回のパッケージサービスは、エアロネクストがセイノーHDと共同展開している、ドローンと陸路配送との組み合わせサービスとの連携も可能としている。KDDIグループもセイノーグループも全国に広がる強固なネットワークを武器にしている。レベル4解禁を前に、ドローン配送を巡る合従連衡が拡大する可能性も出てきた。