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GROUND、自律型協働ロボ新型試作機/関西物流展

2022年6月23日 (木)

▲自律型協働ロボット「PEER」の新型プロトタイプ

イベントGROUND(グラウンド、東京都江東区)は23日、「第3回関西物流展」で自律型協働ロボット「PEER」(ピア)の新型プロトタイプ(試作機)を公開した。運搬できる最大荷重を2倍超に高めることで、さらに幅広い領域への提供を図る狙いだ。

PEERは、物流施設内でロボットと人間が協働してピッキング作業を行うことで省人化を図るソリューション。扱いやすく従業員にとってもやさしい機器であることが特徴だ。

PEERの基本モデルは、国内初となる自律型協働ロボットの実用事例として導入実績がある。さらに「PEER SpeeMa+(スピーマプラス)」は、国内で初めて自動認識技術であるRFID(電波を用いてRFタグのデータを非接触で読み書きするシステム)に対応した自律型協働ロボットだ。

こうしたPEERシリーズは物流現場における導入が進んでいるものの、ピッキング対象が小型で軽量な商品に限られており、展開領域の拡大を図るには、最大荷重を高める必要があった。

現在のPEERシリーズは、主に日用雑貨や夏物の衣料品など比較的軽量な商品を対象としているが、今後は金属部材など重量のある商材についても運搬できるよう機能を拡張することで、これまで訴求できていなかった領域にも参入できる機会を創出する狙いがある。こうした背景から、GROUNDは、顧客からもこうした要望が強まっていることから、PEERの最大荷重を高めた新モデルの導入に踏み切った。

新型プロトタイプは、焦点である最大荷重について、基本モデルの42.5キロから約100キロに高めた。新モデルの実用化に向けた基本設計はほぼ終了し、ロボットのボディの寸法やデザイン、支柱の安定性などの調整を進めている段階だ。

GROUNDは具体的な試験導入や実用化のスケジュールについては「未定」としているが、できるだけ早い段階で市場に提供したい考えだ。

今回の関西物流展のブースにて、PEERの新型プロトタイプの実演を披露したほか、2021年8月に提供を開始した自社開発の物流施設統合管理・最適化システム「GWES」(ジーダブリューイーエス、GROUND Warehouse Execution System)の意義や業務改善提案プロセスなどを紹介。物流倉庫の現場における「全体最適化」を前提とした問題解決策を訴求するブース構成としたことで、来場者の強い関心を集めた。

PEER「新モデル」はGROUNDのロボットソリューションを象徴する取り組みだ

GROUNDがPEERの新モデル導入を決めた背景には、物流業界における人手不足など諸問題の解決が社会的なテーマとなるなかで、ラインアップを増強することにより、さらに幅広い領域における業務改善を支援できると判断したからだ。PEERの対象領域を広げることで、システムと連動したソリューションを提供するビジネスモデルをさらに確立する契機としたい目論見もある。

▲スーパー「カスミ」での協働イメージ(出所:GROUND)

PEERの市場戦略を物流ロボットソリューションの基軸と位置付けて、様々な展開イメージを模索し続けてきた。ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスグループのカスミ(茨城県つくば市)への自律型協働ロボット納入もその一例だ。

こうした導入実績を着実に積み上げることで、納入先の肌感覚を的確に把握して課題抽出を図り、ソリューションの構築に反映する。こうした作業を繰り返すことで、GROUNDは物流現場で最も求められているテーマを鋭く見抜く眼力を鍛えることができただけでなく、それを新ビジネスに生かすノウハウの獲得にも成功した。

物流DX(デジタルトランスフォーメーション)の旗手として、存在感を着実に高めているGROUND。その裏には、PEERの市場展開からも分かるとおり、膨大な導入実績に基づく課題抽出と的確な問題提起、そしてソリューションへの反映力がある。そのどれが欠けても、現在のGROUNDはなかった。(編集部・清水直樹)

■「PEER新型プロトタイプ」デモンストレーション