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空解とドコモ、40キロ海上ドローン運搬実験に成功

2022年6月30日 (木)

▲座間味村・古座間味ビーチに正確に着陸した様子(出所:空解)

ロジスティクス空解(東京都町田市)とNTTドコモ(同千代田区)は29日、40キロ離れた離島へのドローンによる救援物資などの運搬に係る実証実験に成功したと発表した。NTTドコモの高精度測位システムを活用して、設定した地点に正確に着陸した。両社は今回の実証実験の成果を生かして、実用化に向けた取り組みをさらに推進する。

電動VTOL固定翼ドローン「QUKAI FUSION 2.0」が、沖縄県豊見城市から同県座間味村の海岸までの40.81キロを33分47秒かけて飛行した。

ドローンの自律飛行は、長距離をいかに高い精度で航行できるかが本格的な実用化の可否を判断する鍵になる。あらかじめGPS(全地球測位システム)などの衛星測位を利用してドローンの位置と目的地の座標、高度などの情報を取得し、位置情報と地図を組み合わせて飛行ルートを設定する。しかし、従来のGPSの単独測位では位置の誤差が数メートル程度発生することがあり、周りとの十分な距離と着陸スペースの確保が必要だった。さらに、海上や着陸時の気流の変化が激しい場所では、高度の誤差が数十メートルに広がる場合もあった。マルチコプター型ドローンの航続時間は最長30分程度で長距離飛行は難しく、離島への物資配送は困難とされてきた。

▲実証実験の飛行ルート

今回の実証実験は、災害や病気などの緊急時における座間味村の住民の不安解消を目的とした緊急必需品の配送や将来的な飲料・食料などの生活物資配送を想定。両社によると、離島への電動ドローン物資輸送では国内最長距離を記録したことになるという。

空解が開発したQUKAI FUSION 2.0は、固定翼型のいわゆる飛行機型でありながら、離着陸時に垂直上昇・下降が可能なのが特徴。回転翼機のマルチコプター型ドローンのように滑走路なしでどこでも離着陸できるだけでなく、マルチコプター型ドローンの課題であった飛行距離を大幅に改善。特殊FRP構造により高剛性を確保することで飛行の安定性を向上させた。

QUKAI FUSION 2.0に搭載した受信機へ高精度位置補正情報をリアルタイム配信することで、1秒ごとに数センチの誤差内の高精度測位が可能となり、あらかじめ設定した着陸ポイントに対して自動で正確な着陸に成功。高精度な着陸が可能なため、離着陸の際に長い滑走路や広いスペースなどを確保する必要がなく、物資などを安全に運ぶことが可能なことを実証した。