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TDBCフォーラム開催、運輸課題解決へ研究発表

2022年7月7日 (木)

イベントデジタル技術を利用した運輸業界の課題解決を目指している「運輸デジタルビジネス協議会」(TDBC)は7日、1年間の研究成果を発表する「TDBCフォーラム2022」をオンラインで開いた。ことしで6回目。実証実験などの活動成果を中心に、輸送の効率化や事故撲滅、SDGs、健康経営などに関わる研究やサービスなど約30件を紹介。物流や関連業界を中心に1100人が視聴した。

協議会は2016年に設立され、トラック、ダンプ、タクシー、バスなどの事業者会員とサポート企業会員の160社289人のメンバーが、課題ごとにワーキンググループ(WG)に分かれて活動している。フォーラムは17年から毎年開催。LOGISTICS TODAYもメディア協賛社として支援している。

▲TDBCフォーラム2022より、WG活動での課題解決のアプローチ

今回の目玉の特別講演では、東京大学とソフトバンクが「データ連携基盤活用による物流最適化の取り組み」と題して、トラック運送などへのビッグデータの活用策を紹介した。東大のデジタル空間社会連携研究機構の柴崎亮介機構長は、コンピューター画面を示しながら、ビッグデータを元にAI(人工知能)が配送トラックの最適化ルートを見つけ、ドライバーがそれに応じて運行・配達するシミュレーションを披露した。ソフトバンクもビッグデータを駆使して、電気自動車(EV)を運転中のドライバーに最寄りの充電スタンド情報を伝えるシステムの将来イメージをCG動画で紹介。多数のEVが一つのスタンドに集中しないよう、各EV電池残量に応じた分散誘導の仕組みも説明した。

▲東京大学の柴崎機構長(右下)によるトラック配送最適化の発表

9つのWGの成果発表では、ドライバーに対する「無人AI点呼」実現を目指す第8WGが研究の現状を紹介。メンバーの大河原運送(静岡県島田市)の大河原裕尊社長らは、医学的知見を持つ専門家に参画を求め、ドライバーの脈拍などのバイタルデータをAI点呼に盛り込む試みを紹介した。勤務状況とドライバーの健康状態との相関関係についても研究しているという。

日立物流などで構成する第1WGは、事故撲滅のための乗務員教育を研究している。このうち、トラックの後退時における死角事故防止策の検討では、ギアをバックに入れた後の3秒間停止と時速4キロ以下での後退を安全操作として推奨し、その順守状況を車載カメラで動画撮影して事業所内で共有する手法を提案。会員企業で試行したところ、実際に停止秒数の順守率が向上し、事故が減ったという。

WG以外にも個別企業の事例紹介が行われ、このうちトラック運送のナガヤマ物流(東京都府中市)とハイテク製品輸入商社のジャパン・トゥエンティワン(愛知県豊橋市)は、運転席搭載カメラでドライバーの眠気をキャッチして警報を鳴らす装置をデジタルタコグラフと組み合わせて、警報データを会社全体の事故対策に活用する提案を行った。

▲ナガヤマ物流などによる居眠り運転防止策の発表

TDBC事務局はことし8月ごろに、各発表の動画(一部を除く、期間限定)と資料をウェブサイトの同フォーラムのページで公開する予定だ。

■TDBCフォーラム2022Webサイト
https://unyu.co/forums/2022-online.html