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日本郵船、省エネ運航装置の技術開発で2社と協業

2022年7月8日 (金)

環境・CSR日本郵船は8日、船舶用機器開発のナカシマプロペラ(岡山市東区)、船体設計の流体テクノ(長崎県佐世保市)の2社と業務提携を締結したと発表した。

提携内容は、船尾部の水の流れを改善し燃費効率を向上させる省エネルギー装置の効果検証▽省エネ装置の最適な組み合わせの選定▽既存船舶への導入――というもの。今後3年で日本郵船が運航するドライバルク船のうち、50隻に最適な省エネ装置を導入し、既存船舶での温室効果ガス(GHG)の排出削減を目指す。

▲省エネ装置の例(出所:日本郵船)

水から受ける船体の抵抗を抑えるほど省エネ運航が可能になることから、船舶用工業や造船業界では先進的な省エネ装置の開発が進んでいるものの、異なるメーカーが製造した装置との相乗効果や、最適な装置の組み合わせの検証が課題となっていた。

今回3社が協業し、それぞれの知見や強みを持ち寄り、複数の省エネ装置の最適化に共同で取り組むことで、従来比で1%から最大8%の燃費効率改善と、GHG排出削減効果が期待されるという。(山中克浩)

日本郵船の省エネ装置開発を巡る提携、各領域の「プロ」が腕を見せ合いさらなる高次元を目指せ

巨大な海上輸送船のスムーズな運航を支えているのは、その船に搭載された無数のパーツだ。なかでも、プロペラは原動機から出力される回転力を推進力へと変換する装置であり、船を「動かす」ために欠かせない。そのプロペラは、まさに技術力の結晶であり、形状や材質など限りない創意と工夫で極限まで磨き上げられた産物だ。

日本郵船は、海上輸送ビジネスの持続的な成長に向けて取り組む脱炭素化など環境対応の取り組みとして、プロペラをはじめとする省エネ運航装置の開発を加速する。今回の提携は、こうした環境対応策に乗り遅れまいとする日本郵船の危機感も伝わる取り組みと言える。

日本郵船は国内を代表する海運事業者として、環境対応策についても先陣を切って取り組んできた経緯がある。とはいえ、造船メーカーだけではない専業ならではの装置開発要素も活用した革新技術を創出する取り組みは、これまでになかった発想だ。プロペラなど船舶の運航における基本となる装置だからこそ、業界のプロフェッショナルが互いに腕を見せ合いながら、さらなる次元を模索してほしい。(編集部・清水直樹)