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商船三井など、アフリカで精米所事業の実用化検証

2022年7月14日 (木)

国際商船三井は13日、唐沢農機サービス(長野県東御市)との企業コンソーシアム(共同事業体)で提案したケニアでの小規模精米所ビジネスの事業化検証プロジェクトについて、農林水産省が公募した補助事業「令和4年度 アフリカ等の企業コンソーシアムによるフードバリューチェーン構築実証事業」に採択されたと発表した。

商船三井が全額出資するKiliMOL(キリモル、東京都港区)は、アフリカへの農機輸出事業を手掛ける。キリモルによるケニアでの日本の中古農機導入デモンストレーションなどの活動経験やネットワークを活用。コンソーシアムでは2023年3月までに、ケニア最大の灌漑事業区であるムエア地区とビクトリア湖周辺のキスム地域にて、「村の精米所」(民間の小規模精米所)ビジネスの事業化を検証する。

ケニアをはじめとする東アフリカでは米の生産は年々盛んになっている一方で、技術発展の遅れから問題も山積している。精米分野においては、路上での天日干しによる石やちりの混入のほか、水分量の偏りによる砕米の発生、施設の老朽化による品質の低下が指摘されている。さらに、精米施設数が少なく偏在していることから、生産された米の他国への流出や、小規模農家自らが自家消費分の米を充分に確保できないなどの問題が発生している。

コンソーシアムはこうした問題の解決に向けて、ムエア地域とキスム地域に計20か所の小規模民間精米所を設置する実証実験を実施。ことし9月に現地へ日本メーカー製の精米機を20台輸送し、デモンストレーションや技術指導を行い、その後数か月にわたって現地農家などによる村の精米所システムの試験運用で事業化を検証する。コンソーシアムとキリモルのほか、現地パートナーとしてKAI GLOBAL(カイ・グローバル、ケニア)の協力を得ている。


▲2021年9月にケニアで実施した日本の精米機導入デモンストレーションの様子(出所:商船三井)

唐沢農機の日本国内での機材調達力や農業機械の修理整備に関する技術、商船三井グループの安定した輸送力と現地拠点の活用、さらにカイ・グローバルの現地での米栽培や流通に係る知見と現地ネットワークを生かした連携により、現地の農業技術発展、農業機械化の実現に向けた取り組みをさらに強化する。

商船三井は、地域戦略を営業戦略の要に据え、今後人口増加が見込まれるアフリカ市場においてもグループとして農機販売を端緒に、派生したロジスティクス・農業分野における新規事業への参入を通じて、現地におけるフードバリューチェーン構築や貧困問題の解決への貢献を目指す。