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マースク、インド・バングラ間の内陸水運に初成功

2022年7月26日 (火)

国際欧州の海運大手、A.P.モラー・マースク(デンマーク)は25日、インドとバングラデシュの間で、内陸水運を活用した高速の国境越え輸送に初めて成功したと発表した。モンスーン期に荒天で海上輸送に支障が出ている時の、貴重な代替輸送路として今後の展開が注目される。

発表によると、同社はこのほど、インドのコルカタ(旧カルカッタ)からインド国営の水路などを通ってバングラデシュのダッカ近郊の河川港にコンテナ貨物を輸送した。荷主はコカ・コーラのバングラデシュ法人。はしけにコンテナ50本(TEU)を載せて輸送した。従来の海上輸送に比べ、輸送時間を60%以上短縮できたという。

(出所:A.P.モラー・マースク)

両国間の海上輸送はモンスーンの時期に乱気流の影響でしばしば遅延が発生している。マースクは代替策として内陸水路や河川での貨物輸送を考案した。海上輸送網の物流容量がひっ迫していることもあり、荷主からもより迅速で信頼性の高い内陸水路に代替ルートを求める声があがっていた。

今回の内陸水運の成功には、海運の代替という意味の他にも、両国間の陸上輸送を補完する役割も期待されている。さらに両国間の貿易だけでなく、内陸国であるブータンへの物流にも大きな可能性を切り開くものとなった。

マースク南アジア部門の責任者は「インド・バングラデシュ間で、この(内陸水運)航路でコンテナ輸送ができ、両国の輸出入業者に速くて信頼性が高く安全な物流の選択肢を提供できる」と、自信を示している。荷主であるコカ・コーラのバングラデッシュ法人幹部も「(海運に比べて)積み替え時間を大幅に短縮することができた。従来は配送スケジュールが遅延により大きな影響を受けていた。マースクが提供する内陸水運は非常に有益だ」と評価している。マースクは荷主に対し、輸送に要する時間の見積もりと実際にかかった時間を比較できるレポートも提示しており、物流の可視化にも配慮している。今回の輸送ではその差は軽微だったという。