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海運大手3社、運賃高と円安で1Q大幅増益に

2022年8月3日 (水)

(イメージ)

財務・人事海運大手3社の2022年4-6月期連結決算(2023年3月期第1四半期決算)が3日出揃った。中国上海市のロックダウン(都市封鎖)やウクライナ情勢による物流の混乱といった悪影響もあったが、新型コロナウイルス禍に起因する海上運賃の高止まりが続き、それに歴史的な円安も重なり、3社とも増収、大幅増益となった。

3社の業績を大きく左右するコンテナ海運の合弁会社オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE、シンガポール)は今四半期も大幅な増益となった。3社の営業外収益への持分法による投資利益計上額は、日本郵船が2644億円、商船三井と川崎汽船がいずれも2329億円、合計で7302億円となった。

好業績を受け、3社は増配予想も発表した。1株あたり、日本郵船は中間配当を期初予想比350円増の1000円に、株式分割後の期末配当を同10円増の145円にする見通し。商船三井は中間配当を同100円増の300円に、期末配当を同50円増の200円にする見通し。川崎汽船は中間配当を同150円増の300円に、株式分割後の期末配当を100円(株式分割前基準では同150円増の300円相当)にする見通しだ。

日本郵船、サハリン2不安定化で特損178億円計上

日本郵船が3日発表した決算では、売上高が前年同期比33.4%増の6730億5000万円、本業のもうけを示す営業利益が68.3%増の891億7400万円、経常利益が2.5倍の3777億2600万円、最終利益が2.3倍の3433億7700万円となった。上海ロックダウン、ウクライナ情勢に加え、北米西海岸の港湾混雑も緩和したとは言え、なお収束してはいないが、定期船、不定期専用船の運賃市況が高値で推移したことが大きい。自動車輸送部門は半導体や部品不足による完成車減産が響いたが、効率化で船舶の稼働率を高め、前年並みの輸送台数を確保し、円安の好影響も受けた。23年3月期通期の業績は7月時点の予想値を据え置いた。

また、日本郵船は極東ロシアの資源開発事業「サハリン2プロジェクト」のLNG輸送に関して178億円の特別損失を計上した。ロシアのウクライナ侵攻以降の情勢の不安定化でサハリン2事業の先行きが見通せなくなったため、保有する輸送船2隻の減損処理をしたため。

川崎汽船、営業利益が7.9倍増

川崎汽船も3日に決算を発表。売上高が30.8%増の2284億9800万円、営業利益が7.9倍の188億7800万円、経常利益が3.0倍の2673億9700万円、最終利益が2.6倍の2666億3900万円と、同社も増収・大幅増益となった。23年3月期通期の業績については、期初の予想値を据え置いた。

商船三井は7月29日に決算を発表している。売上高が29.7%増の3747億8300万円、営業利益が2.9倍の235億9700万円、経常利益が2.7倍の2841億9100万円、最終利益が2.7倍の2857億7900万円となっている。