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第3号機種「FlexPorter」、店舗向け物流への対応強化

シリウス、新型AMRを国際物流展で初公開

2022年8月16日 (火)

話題中国・深圳(シンセン)を拠点にAMR(自律走行搬送ロボット)開発を手がけるSyrius Robotics(シリウスロボティクス)が、東京ビッグサイトで9月13日から4日間開催される国内最大の物流関連見本市「国際物流総合展2022」で新機種を初公開する。

▲「Syrius Robotics×ROBOCREW」の国際物流総合展ブースイメージ

「ともに働こう、ロボットと」をスローガンに、アプリケーションで機能を展開することで顧客ニーズに適したDX(デジタルトランスフォーメーション)支援サービスを提供する独自戦略で、国内におけるAMR市場に新風を巻き起こしているシリウス。今回の見本市で披露する新機種は店舗向けのピッキングを支援する機能も備えており、シリウスの強みとする圧倒的なロボット開発技術力を訴求するとともに、さらなる新領域の開拓につなげる。

シリウスは今回の展示会について、初期費用無料の「RaaS」(Robotics as a Service)サービスを拡充する目的で設立したROBOCREW(東京都千代田区)と共同で出展。「Syrius×ROBOCREW」の表記を掲げてより幅広いAMR提供力を印象付ける。

シリウスのAMR国内展開はEC倉庫向けでスタート

シリウスのAMRは「Flex」(フレックス)シリーズで2019年中盤から国内市場で展開している。第1号機種である「FlexComet」(フレックスコメット)は、物流倉庫のなかでもEC(電子商取引)関連商品を取り扱う現場を想定した仕様として開発した。その特徴の一つが、コンパクトなサイズだ。

▲シリウスジャパンカスタマーサクセス部の堀之内和光ディレクター。左はFlexCometの概念イラスト

「奥行きは63センチ、幅はわずか47センチと小ぶりに仕上げ、最小通路幅80センチの狭さにも対応した自律走行を可能としました」(シリウスジャパンのカスタマーサクセス部の堀之内和光ディレクター)

21年末に市場に投入した第2号機種の「FlexSwift」(フレックススウィフト)も同じくEC向け仕様だが、先行機のFlexCometよりもひと回り大きめのサイズで最大可載荷量を50キロから100キロに高めた。とはいえ、通路幅90センチにも対応できるコンパクトさは健在で、シリウスのAMRの強みである現場を選ばない対応力の高さを印象付けるラインアップとして注目を集めた。

そして、今回初公開する第3号機種「FlexPorter」(フレックスポーター)。今回は搭載する商品サイズの大きさや容器数の増加を必要としており、「上記2機種では対処できなかったEC向け倉庫への用途だけでなく、『店舗向けのピッキング支援』への転用も可能な機種として展開を目指します」(堀之内氏)。

▲シリウスが展開するAMRブランドFlexシリーズ

店舗向けピッキング機能で新境地を開く第3号機種「FlexPorter」

シリウスにおけるAMRの国内展開の歴史のなかで大きな方針転換とも言えるFlexPorterの登場。その狙いは何か。堀之内氏は「物流現場におけるAMRの新たなニーズに対応したのがFlexPorterです」と明かす。

▲FlexPorter

新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛の動きは、国内における物販のEC化率を高めたのは間違いないだろう。インターネットの普及がもたらしたECサービスの浸透は、このコロナ禍でさらに強まったと言ってよい。とはいえ、物販市場におけるEC化率は様々な指標を見比べても総じて2割程度にとどまっており、店舗での商品購入はその比率が低くなってはいるものの、依然として消費行動の“主流”であることに変わりはないのが現実だ。

先行2機種をEC向けとして国内市場に投入してきたシリウスだが、国内への導入プロセスを通じて、EC向け物流だけでなく、店舗向け物流のように容量の大きいピッキングを行いたいとのニーズをさまざまな顧客から寄せられていた。創業当初より構想としては存在していたが、先行2機種の開発知見やノウハウを生かしたうえで、顧客のニーズに寄り添いながらようやく新たな領域の開拓に挑める体制が整った。

「EC向け物流倉庫と比べて、店舗向け物流の現場はピッキング動線が長く、重さのある商品を取り扱うことも少なくありません。こうした現場でのニーズに対応したピッキング支援AMRには、従来機とは異なる機能が要求されます」(堀之内氏)

シリウスは、EC向け倉庫ほど狭い通路の走行能力を要求されない一方で、最大可載荷量を高めることが不可欠であると判断。サイズを大きくして走行時の安定性を高めるなどの仕様変更を進めたうえで、最大可載荷量を300キロと大幅に高めた。シリウスは、こうして誕生したFlexPorterを早ければ年内にも国内で発売する予定だ。

今回のFlex Porterの販売開始を通じて、シリウスは大中小それぞれのハードの特性を生かして、倉庫内物流におけるAMRの対応可能な領域の拡大を目指す。同時にアプリケーションの充実度にも注力してユーザーの利便性向上も同時に追求することがAMR普及に欠かせないとみている。

AMRもアプリも選べるシリウスのロボティクスの世界観を訴求する「国際物流総合展」

国際物流総合展のシリウスブースでは、FlexPorterをはじめとするAMR3機種を展示するほか、これらAMRの機能を現場の抱える課題に対応したものに切り替えることができるアプリケーションを紹介。アプリケーションには定点搬送機能を持つ「PonyRunner」(ポニーランナー)や入庫格納機能用の「GoodsKeeper」(グッズキーパー)など多様な種類がある。


▲AMRと連携した多種多様なアプリケーションを展示ブースで紹介

さらに、こうした多様な機能を持つAMRのRaaSサービスも訴求。「ロボティクスサービスを月額定額制のサブスクリプション型で提供するサービスで、より顧客がお求めやすくなる選択肢を増やすことで現場の自動化に向けたロボット導入を促す効果を期待しています」(堀之内氏)。

シリウスはことし7月、中国の豊年資本(ハーベストキャピタル)から数千万元を調達。21年8月にもTikTok(ティックトック)を運営する字節跳動(バイトダンス)などから2000万ドル(27億円)を調達するなど、AMRの開発強化に向けた事業基盤の構築を進めている。中国をはじめ東南アジア、北米、欧州の提携企業との連携を強化し、製品販売やサービス提供のネットワーク構築に注力する方針だ。

「スマート倉庫のソリューションに新たな革命をもたらす〜より高い生産性へ、フレキシブルに対応〜」。シリウスが掲げる、AMRをはじめとするロボティクスの開発・提供における理念だ。国際物流総合展におけるFlexPorterの初公開を契機として、シリウスは新たなロボティクスの境地を開拓するとともに、より現場の課題認識に即した物流DX施策を提示していく。

シリウスジャパンホームページ