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SBSフレック倉庫火災でメグミルクに33億円の損失

2022年8月12日 (金)

▲黒煙を上げて燃える阿見第二物流センター(茨城県阿見町、7月3日撮影)

財務・人事ことし6月に起きたSBSフレック(東京都新宿区)の物流施設「阿見第二物流センター」(茨城県阿見町)の全焼火災で、SBSグループ以外が被った損害の一端がわかった。荷主でありフレックの株主でもある雪印メグミルクが33億円余りの関連損失を公表した。一方、火災原因が未解明なこともあって損害賠償を巡る交渉などは残されており、この倉庫火災の被害の全容判明にはなお時間を要しそうだ。

メグミルクは10日の2022年4—6月期連結決算(2023年3月期第1四半期決算)の発表の際、同火災に伴う損失が、判明分だけで33億2700万円に上ることを公表した。

それによると、まず荷主として、同施設に預けていた乳製品原料の焼失額(棚卸資産損失額等)22億3900万円が判明、第1四半期決算の特別損失に計上した。メグミルクは隣にある自社工場で乳製品を製造しており、加工前の原料を同施設で保管していた。同施設の最大の荷主だった。

次に、株主として10億8800万円の持分法投資損失が発生、こちらは第2四半期決算に営業外損失を計上する予定という。SBSフレックの前身は雪印グループの物流会社で、2004年にSBSが買収したが、メグミルクは現在もフレックに33.98%出資している。フレックの固定資産消失分を持分法の規定に従って損失計上する。このため、メグミルクは10日、第2四半期決算の業績を期初予想から下方修正した。

メグミルクが被った損失には未確定部分があり、損害賠償や保険金の受け取り額も確定していない。同社は10日に23年3月期通期の業績予想も下方修正したが、火災影響は加味せず、それらが確定次第、再修正する方針だ。今後、関係者との求償交渉を行うとしている。現在、警察と消防が進めている火災の原因調査の行方にも左右される可能性がある。

メグミルクの足元の事業運営は厳しく、第1四半期実績も今後の業績予想も減益となっている。さまざまな食品の値上げによる消費マインドの低下や外食需要の回復の遅れなどが主因だが、この6月の物流アクシデントにも利益を圧迫された形だ。

同火災を巡っては、SBSフレックの親会社SBSホールディングスも、先に発表した22年12月期第2四半期決算で46億1400万円を特別損失に計上している。