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大王製紙とサントリーが物流共同化、24年見据え

2022年8月18日 (木)

ロジスティクス大王製紙は18日、サントリーグループと共同で長距離輸送効率化に向けた取り組みを8月から段階的に開始する、と発表した。トラックドライバーの年間所定外労働時間の上限規制(2024年問題)を見据えた動きで、物流総合効率化法(物効法)に基づく総合効率化計画の認定、モーダルシフトなど推進事業の交付を受けて実施する。

物流子会社のダイオーロジスティクス(愛媛県四国中央市)とサントリーロジスティクス(大阪市北区)が、関東・関西間の長距離輸送で両社グループ製品を混載し、積載率の向上や輸送効率化に取り組む。

異なる業界ながら物流の共同化を通じて「持続可能な安定輸送体制の構築」を進め、SDGsのゴールに向けた取り組みの一環として、CO2排出量削減にもつなげる。

サントリーの飲料製品は重く、積載重量制限で100%の積載ができていなかったが、新たな取り組みとしてトレーラー上部の空きスペースを活用し、大王製紙品の混載を開始することで積載率を高める。これにより、両社が運行するトラックは年間176台、CO2を115トン削減する。

▲上段に大王製紙のノーカーボン紙、下段にサントリーのビールを効率良く混載し、99.8%の積載率を達成(出所:大王製紙)

輸送エリアを関東・中部・関西に3分割し、リレー形式で輸送するスイッチ輸送を採り入れ、トラックドライバーの運転距離を短縮。労働時間を年間2062時間削減し、労働環境の改善を図る。現在、テスト走行を重ねており、9月中には本格的に開始したい考え。

スイッチ輸送のほか、31フィート鉄道コンテナを共有した往復輸送も9日から始めた。関西から関東への輸送が多い大王グループと、関東から関西への輸送が多いサントリーグループが協力し、トラック台数を年間288台、CO2を101トン、ドライバーの労働時間を1771時間減らす。

▲コンテナ輸送のイメージ

大王製紙はこれまでRORO船へのモーダルシフトやスワップボディによる中継輸送の検証を進めてきたが、自社の取り組みだけでなく、他社との協業を進めることで、取り組みの実効性を高める。

LOGISTICS TODAYの取材に対し、大王製紙は「2017年ごろから、両グループの物流子会社間で情報交換を開始し、その中で出てきた話がきっかけ」と明かした。

製紙業と飲料製造という、まったく異なる業種でありながらも、こうしたコミュニケーションを重ねたことで「夏に需要が膨らむサントリーと、冬に出荷が増える大王製紙という、異なる繁閑期を利用した相互補完が可能」であることに着目。さらに、今後はそれぞれの倉庫を活用した共同物流を進めるとともに「新たな輸送手段」を検討する。