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国際物流総合展2022で「業務用昇降棚LF」を披露、そのメインターゲットはECだ

オークス、独自の「棚上空間活用術」で保管効率向上

2022年8月31日 (水)

話題物流倉庫における保管効率をいかに高めるか。物流事業者や荷主企業が頭を抱える課題の一つが、商品在庫の最適化だ。新型コロナウイルス禍を契機とした「新しい生活様式」を反映して消費スタイルの多様化が加速するなかで、在庫管理の最適化・効率化がこれほど求められている時代はないだろう。とはいえ、相応の投資が必要な倉庫の増設や新規物件の確保は、そう簡単に進められるものではない。

こうした物流倉庫の抱える難題を解決に導く新発想の設備が、東京都江東区の東京ビッグサイトで9月13日から4日間開催される国内最大の物流関連見本市「国際物流総合展2022」に登場する。

▲業務用昇降棚LF

金属加工の街で知られる新潟県三条市を拠点に独創的な金属製品を展開するオークスは、2021年に続いて2回目の参加となる今回の出展ブースで「業務用昇降棚LF」を、EC事業者や関連する物流・運送事業者を含めた幅広い来場者に訴求。さらなる市場拡大を見据えた事業展開を推進する起爆剤にする考えだ。

金属加工の街の老舗が生んだ独自開発の「業務用昇降棚LF」

オークスの業務用昇降棚LFは、棚の天板部材に取り付けた収納ラックがピッキング作業者の手の届く高さまで降りてくる仕組みだ。既に据え付けられた棚の上部空間を新たな保管スペースとして確保できるとともに、踏み台を使わずに操作ハンドルを使って昇降させることができるため、作業者の安全性と保管効率の向上を両立できるのが最大の特徴だ。

物流倉庫で一般的な棚の高さである「2100ミリ用」と「2400ミリ用」の2タイプを用意。収納ラックが2100ミリ用で832ミリ、2400ミリ用では980ミリそれぞれ下降する設計としており、小柄な作業者でも十分に荷物を出し入れできる。


▲既存の棚の上部に新たな保管スペースを創出。小柄な作業者でも楽に荷物を出し入れできるのが特徴だ

一般的な工具で取り付けることができることができるほか、動作に電源を必要としない。1台当たり10キロまで積載できるため、幅1800ミリの棚の上に2台並べて20キロの荷物を保管できる機能性の高さも強みだ。

今回の国際物流総合展でオークスが狙う「EC」領域への浸透

業務用昇降棚を外食産業やスーパーマーケットなどに既に展開していた実績を持つオークス。新たな市場開拓先として着目したのが物流だった。その第一歩として、21年10月の「国際物流総合展2021」で、物流関連見本市として初めてブースを出展。アパレルや家電、家具など幅広い業種の来場者の関心を集めるなど、一定の手応えを得た。

▲前回の物流展で反響を呼んだ業務用昇降棚LF。今回の国際物流総合展では、さらに広い領域に訴求する考えだ

「前回のブース出展で、物流がオークスの事業における柱として成長を見込める分野であることがわかりました。今回は、業務用昇降棚LFの訴求対象のさらなる拡大を図ります」。オークス営業部の村田清貴リーダーは、2回目となる国際物流総合展の参加の狙いをこう語る。

物流業界への参入強化を狙うオークス。なかでも注力領域として位置付けるのが、ECだ。「ECサービスの命は、何といっても『スピード』です。売れ筋であるか否かにかかわらず、商品を在庫として保管しておく必要があります。EC需要がこれまでになく高まっている今、EC物流倉庫における保管スペースの確保は喫緊の課題なのです」(村田氏)。オークスは、こうしたEC商品を扱う3PLや運送企業も含めて、EC関連事業者への訴求を図る絶好の機会として、今回の国際物流総合展を位置付ける。

EC物流を意識した製品展開を着実に進めるオークスが訴求する「3つの強み」

オークスは、既にEC物流を意識した展開を始めている。日立物流は19年に業務用昇降棚LF25台を試験的に活用した。多くの倉庫で使用されている中軽量ラックの天板部材に取り付けることで、人の手が届かないデッドスペースに新たな保管スペースを生み出す取り組みに着手した。その狙いはEC商品の保管効率向上だ。その後本格採用を決定し、20年には200台を導入した。さらに大手通信販売企業の倉庫でも相次いで採用されるなど、活躍の場を着実に広げている。

<業務用昇降棚LF導入事例>
日立物流が昇降棚でEC物流対応、既存倉庫生かす(2021年3月2日掲載)

▲「業務用昇降棚LFの3つの強みを訴求したい」と語る営業部リーダーの村田清貴氏

オークスがこうした物流関連業界への浸透をさらに広げていく機会として注目する、今回の国際物流総合展。そこでは、3つの強みを前面に出して訴求を図る考えだ。

「『作業者の安全性と保管効率向上の両立』『作業効率アップ』『既設の棚を活用できる機能性』です。こうした強みを実演を交えて来場者に示すことにより、まずはこうした発想があることを認識してもらう狙いです」(村田氏)

前回に続いて「棚上が在庫スペースに!!」をスローガンに掲げて、黒と赤でシックにまとめたブース構成とするオークス。しかし、今回は一味違う訴求活動を繰り広げる計画だという。

▲国際物流総合展2022の出展ブースイメージ

デモ機レンタルで獲得狙う「現場に寄り添う技術力」

その象徴が、デモ機の貸し出しサービスだ。「ブースで興味を持っていただいた来場者を対象に、ヒアリングや現地調査を行った上でデモ機を貸し出します。現場における安全性はもちろん、棚のタイプやサイズ、設置環境などの諸条件をクリアする希望者を対象に最大で1か月程度、現場で試行していただく取り組みです」(村田氏)

資料や口頭での説明だけでは、なかなか現場での活用メリットや課題を理解しにくい。それならば実際に使って業務用昇降棚LFの強みを実感してもらうことで、より精度の高いビジネスチャンスの獲得につなげる狙いがある。さらには、こうした見本市になかなか姿を見せない現場作業者の使い勝手を把握できる機会を得られることで、より最適な製品開発につなげる目論見もある。

出展ブースにおける来場者への訴求とともに、デモ機を活用した顧客獲得に挑むオークス。3つの強みを現場レベルに浸透させたいとの思いこそが、こうした攻めのブース出展を模索する力の源泉になっている。

取付金具の改善で磨きをかける「適応力」

オークスが物流業界での浸透を図る業務用昇降棚LF。「物流DX(デジタルトランスフォーメーション)」の全盛期を迎えている昨今の物流関連見本市で、こうした「ローテク」な設備を訴求する企業はもはや少数派になっている。

先進技術を搭載したシステムと連携して無駄なく動くロボットが物流現場の諸問題を解決する――。こうした動きに共鳴したあらゆる業種の企業が、先を競うように先進技術を披露し合う。それが物流関連見本市の定番になってきている。

▲あらゆる仕様の棚へ据え付けられる「適応力」がオークスの強みだ

こうした傾向がさらに強まるであろう、今回の国際物流総合展。だからこそ、ものづくりの職人肌を前面に出したオークスの業務用昇降棚LFは、強烈な異彩を放つ存在として来場者のハートを捉えるかもしれない。

オークスが目指す業務用昇降棚LFの進化の姿。それは、据え付け時におけるあらゆる仕様の棚への「適応力」だ。

「取付金具の形状を工夫することで設置時の作業性をさらに改善し、据え付けられる棚の種類を増やしていく取り組みを進めていきます」(村田氏)。いわば、取付金具のオーダーメイド化というべきか。

国際物流総合展で異彩を放つ「最先端ローテクの技」

倉庫に並ぶ棚は一見して同じ形状に見えても、メーカーによって細かい部位の仕様が異なるものだ。同じメーカーでの製品であっても、耐荷重などによって仕様が変わることさえある。それでも、より幅広い種類の棚に対応できるように金具を調整することにより、物流業界における浸透度をより高めていく。まさに、ものづくり職人ならではの発想ではないか。

そこに、電動化やIT技術の搭載による操作性改善という発想が入り込む余地は全くない。あくまで物理的な「機械」の範ちゅうで最適化を実現しようとするオークスの心意気。国際物流総合展では、そのしぶい輝きが発揮されるに違いない。そこには、物流DXとはベクトルの異なる「最先端のローテクの技」が存在しているからだ。

■業務用昇降棚LF紹介動画