話題東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催中の国際物流総合展2022は、多くの地方港関係者にとって重要なポートセールスの場となっている。このうち、福井県の敦賀港と福岡県の博多港は合同の展示ブースというユニークな形で、物流関係者や荷主企業にそれぞれの港や両港を結ぶ航路の利用を呼び掛けている。
ともに日本海に面する両港間には、2019年に近海郵船(東京都港区)のRORO船による定期航路が開設され、現在、週6便運航している。ライバルの瀬戸内ルートに対抗し、この日本海航路の利用を促進しようと、敦賀、博多両港関係者は21年に愛知県で開かれた展示会で隣り合わせで展示ブースを設けた。今回は連携をもう一段進めて合同展示とし、装飾や来場者アンケートを一本化した。
「CO2排出削減」「ドライバーの長時間勤務解消」というトラック運送業界が直面する2つの課題に対し、トラック輸送をCO2排出が少なくドライバーの運転がいらない海上輸送に一部切り替えるモーダルシフトという対策が徐々に広がっている。両港関係者も定期航路をそれに活用することを提案している。
博多港は大都市・福岡や九州各地を背後に持ち、韓国はじめアジアとの貿易港だ。敦賀港も中部・関西の各都市に近く、特に名古屋市に陸路で120キロにある立地が強み。例えば、名古屋市の工場や倉庫から出荷し、福岡市に配送する場合、全てトラックによる陸送だと輸送距離770キロでCO2は0.97トン排出される計算だが、途中に敦賀-博多の船舶輸送を取り入れると、輸送距離762キロ(陸送と海上輸送の合計)で排出量は42%少ない0.56トンに抑えられるという。
海上輸送中はドライバーの労働時間も削減できる。近海郵船のRORO船は無人輸送が基本だが、希望すればドライバーの乗船も可能で専用個室がある。また、船倉内には冷蔵・冷凍車用の電源コンセントも多数ある。
両港関係者は、博多・敦賀間と敦賀・苫小牧(北海道)間の2つの航路を結んだ利用も合わせてPRしている。