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ハコベルとTBM、ロジ特別賞受賞者の思いを聞く

2022年9月22日 (木)

▲授賞式の(左から)TBMの羽鳥徳郎氏、JILSの大橋徹二会長、ハコベルの渡辺健太氏(出所:ハコベル)

認証・表彰日本ロジスティクスシステム協会(JILS)は22日、ロジスティクス推進に向けて優れた実績を上げた企業を表彰する2022年度の「ロジスティクス大賞」の表彰式を、東京都内で開催中のロジスティクス全国大会2022の中で行った。大賞は北海道ロジサービスとTSUNAGUTE(ツナグテ)、準大賞は日立物流、特別賞はエーディエフと合通ロジ▽ハコベルとTBM――の2例。協会の大橋徹二会長(コマツ会長)からそれぞれの代表者に表彰状が贈られた。

LOGISTICS TODAYはこのうち、特別賞のハコベルとTBMに受賞事例となった「CO2の間接排出量(Scope3)のリアルタイム可視化システムの実現」について、取り組みの狙いや経緯を取材した。

業務負荷なくCO2排出量を可視化

ハコベル(東京都品川区)は、セイノーホールディングとラクスルの合弁会社で、クラウド技術を使ったトラック運送の求荷求車マッチングや配車管理サービスなどを手掛ける。TBM(同千代田区)は環境に配慮した石油代替の再生素材・製品の開発や製造、販売を事業としており、荷主の立場で関わった。

受賞事由となったプロジェクトは、「業務負荷をかけずにCO2排出量を可視化するための取り組み」と言い、TBMの素材や製品のトラック運送で生じるCO2の量を、ハコベルのトラック配車管理システム「ハコベルコネクト」を使うことでリアルタイムで算定できるようにした。荷主であるTBMや輸送を委託する運送会社の追加業務がなくても算出できるようにし、CO2排出抑制策のハードルを下げたことが評価された。

同システム上に蓄積された運送データを活用し、サービスメニューの1つとしてCO2排出量をダッシュボード形式で表示する。国交省が示した「改良トンキロ法」など複数ある算出ガイドラインに基づき、貨物の積載量や輸送距離、トラックの車格などの要素を入力して計算する。

ハコベルコネクトのCO2排出量可視化イメージ

荷主側のアイデアで実現

プロジェクトを担当したハコベルソリューション事業部の渡辺健太氏は「サプライチェーン全体でのCO2排出量削減に向けた個別具体的な対応が求められている。一方で、排出量の把握や可視化がままならない状態であることも少なくない」と、プロジェクトを始めた際の問題意識を語った。

排出量算定はハコベルコネクトのシステムを拡張することで実現した。それは求荷求車サービスなどで取引のあったTBMから相談され、ハコベルがその可能性に気付いたという。TBMサステナビリティ部の羽鳥徳郎部長は提案当時を振り返り、「ハコベルコネクトを使っていた時に、これでCO2排出量が見えたらいいね、という声が社内から出た。ハコベルに伝えたところ、取り組んでもらえた」と話した。環境負荷軽減策をビジネスにしているTBMにとって、輸送時に出る間接排出量は軽視できないポイントだった。「排出量の算出で終わらせず、輸送1回当たりの積載率を高めるなど、運送会社とも協力して排出抑制を進めたい」と話している。

渡辺氏は、こうしたCO2可視化サービスの業界標準が必要と考えている。同様のサービスを手掛ける他社と協議したい考えで、「SUICAやPASMOといった交通系ICカードの共通化を手本に、標準化できれば理想だ」と意欲を見せた。

他の受賞者の受賞事例は次の通り。
・北海道ロジサービス(北海道江別市)、TSUNAGUTE(ツナグテ、東京都千代田区):「製・配・販・輸送をコネクティッド、日本初の滑らかな物流DX(デジタルトランスフォーメーション)を実現」
・日立物流:「メディカル物流におけるオートメーションの新たな形」
・エーディエフ(大阪市西淀川区)、合通ロジ(同福島区):「組み立てが簡単な物流ボックスで積載率向上」