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車検電子化まで3か月、ICタグで便利・効率的に

2022年9月30日 (金)

記事のなかから多くの読者が「もっと知りたい」とした話題を掘り下げる「インサイト」。今回は「国交省が車検証電子化で手数料値上げ案、1月から」(9月20日掲載)をピックアップしました。LOGISTICS TODAY編集部では今後も読者参加型の編集体制を強化・拡充してまいります。引き続き、読者の皆さまのご協力をお願いします。(編集部)

(イメージ)

行政・団体2023年1月4日に予定されている自動車検査証(車検証)の電子化まで残り3か月。国土交通省は先に電子化に伴う車検手数料の値上げ案を公表した。ただ、車検電子化自体の認知度がまだ高くなく、ICチップ入りの新車検証の機能や運輸支局に行く手間が省けるメリットを知らない人も少なくない。国交省は専用ウェブサイトで周知に力を入れており、本誌も車検電子化のポイントを整理した。

コンパクト、ICタグ内蔵

車検証の電子化は、政府のデジタル政策の一環で、自動車ユーザーや関係事業者の利便性・効率性を高めるのが狙いだ。2018年度に政府内で検討が始まり、19年度の道路運送車両法改正などを経て法整備が行われた。

車検証は現在のA4版の紙から、コンパクトなA6サイズの厚紙の「電子車検証」に切り替わる。紙と電子を選ぶことはできず、1月4日以降の車検から電子車検証が交付され、3年ですべての車で置き換わる。車検時以外の紙から電子への切り替えはできない。電子車検証では、必要最小限の記載事項を除き、内蔵したICタグ(ICチップ)に情報が記録される。市販のICカードリーダーをつないだパソコンや、読み取り機能付きスマートフォンで見ることができる。

閲覧アプリを配布へ

電子車検証の券面には、有効期間や使用者住所、所有者情報が記載されない。自動車ユーザーや関係事業者は「車検証閲覧アプリ」を使って情報を確認する。

同アプリは、パソコンやスマートフォンで24時間利用でき、車検証情報の確認のほかPDFなどのファイル出力、リコール情報の確認といった機能がある。車検更新が近づくと、国交省からの通知も届く。

アプリはiPhone、アンドロイド、ウィンドウズの各OSに対応し、インターネットのアプリストアからダウンロードし、端末にインストールする。国交省はアプリ配布の準備を進めている。自動車情報課によると、早めの配布を要望する声もあり、1月4日以前の配布も検討中という。特設サイトで入手方法を案内する予定だ。

運輸支局に行かずに手続き

▲電子車検証の見本(出所:国土交通省)

車検(継続検査)の時、現在はディーラーや中古車販売業者、自動車整備業者、行政書士といった業者が、ユーザーに代わり運輸支局に出向いて手続きを行っているが、電子化後は紙から電子車検証に切り替わる時を除いて出向く必要はなくなる。業者は運輸支局とオンラインでやり取りしてICタグの記録情報を書き換える。フロントガラスに貼るステッカー(検査標章)も支局まで取りに行く必要はなく、同じオンラインの仕組みで送られたデータを使って業者がカラープリンターで印刷する。

これらの事務作業は、新たな制度である「記録等事務代行者」として業者が運輸支局から委託を受けて行う。委託申請の受付は本年5月に始まっている。(編集部・東直人)

■電子車検証特設サイト(国交省)
https://www.denshishakensho-portal.mlit.go.jp/