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SGHDは2Qも堅調、燃油高・「2024年」対策に自信

2022年10月28日 (金)

財務・人事佐川急便(京都市南区)を中核会社とするSGホールディングス(HD)が28日発表した2023年3月期第2四半期連結決算は、売上高が前年同期比3.5%増の7513億1200万円、営業利益が9.0%増の641億4400万円となるなど増収増益となり、旺盛なEC(電子商取引)需要に乗った業績の堅調ぶりを示した。海外で多少のマイナス要素もあったが影響を小幅に抑え、役員は国内の燃油高や「2024年問題」にも十分な対策を打てていると自信を示している。

同社の発表によると、第2四半期は最終利益も30.4%増の519億4400万円となった。本業の増益に加え、特別利益に計上した7月の日立物流株売却益80億円が押し上げた。9月30日を基準日として1株当たり25円の中間配当を行う。

EC需要の成長続き

▲佐川急便のEV(電気自動車)トラック(出所:SGホールディングス)

28日午後に電話で記者会見した財務や経営企画の担当役員は、業績堅調の第一の要因として、新型コロナウイルス禍で高まったEC需要が、行動制限緩和後も引き続き成長していることを挙げた。飛脚宅配便などデリバリー事業の取扱個数は第2四半期(累計)も6億9900万個と前年同期を1.2%上回り、拡大が続いている。大型荷物の減少で単価は落ちたが小幅で、デリバリー事業のセグメント営業利益は15.5%の増益となった。

マイナス要素があったのは、経営のもう1つの柱、ロジスティクス事業。海外で景気後退懸念が高まり海上・航空貨物の取扱量が減った。ただ、国内で企業への包括的なソリューション提案の新規案件を受託するなどして補い、同セグメントは増収・小幅減益となった。

今後期末に向け、燃料費の高騰がなお懸念材料だが、「予想の範囲で推移しており、コストコントロールは十分可能」(経営企画担当役員)という。23年度通期の連結業績予想は、売上高こそ1兆6000億円と、7月の前回予想から500億円下方修正したものの、営業利益は1420億円と予想値を据え置いた。

日立物流株売却で通期業績を上方修正

通期予想の最終利益は1080億円と、前回予想より40億円上方修正した。これは、10月に行った日立物流株の追加売却益を特別利益に計上するため。日立物流に関しては、米投資ファンドKKRが同社株の株式公開買い付け(TOB)を28日に開始している。SGHDの残りの保有株の扱いについて、記者会見では具体的なことは言及しなかったが、TOBに応じるかそれ以外の手段で近く売却するとみられる。SGHDは7月の売却で得た80億円の売却益を自社株買いの原資に充てるなど、提携戦略の見直しを株主還元につなげて自社の企業価値を高めようという巧みさも見せた。

▲建設中の尼崎中継センターが入居する物流施設

記者会見では、前日に発表した兵庫県尼崎市での新たな中継センター開設計画(26年7月稼働予定)の狙いも強調した。関西地区での中継機能を新施設に集約・効率化することで、中長距離運行便を減らし、ドライバーの待機時間・拘束時間を縮め、労働環境を改善する戦略という。担当役員は「デジタル化や人員増などで、佐川急便としては24年の残業規制はほぼクリアできる」とした上で、残る1年半の時間を、まだ規制に対応できていない協力会社への支援に使う方針を示した。

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LOGISTICS TODAY編集部
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