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バース管理とマテハンをつなぐ、シーイーシー「LogiPull WES」誕生

全体最適の先に見据える倉庫自動化の「新しい景色」

2022年12月20日 (火)

話題トラックは時間通りに到着しているが、倉庫内で積み込みの準備がまだ終わっていない――。

トラック予約バース管理システムを導入したことで、ドライバーの荷待ち待機時間は以前よりも削減できたものの、倉庫全体の効率的な運営という観点でみると改善の余地がある。逆に、庫内の出荷作業の進み具合に対して、トラックが到着するタイミングが合わない。そんな倉庫内外を巡る「連携不足」という課題が近年、物流DX(デジタルトランスフォーメーション)の浸透とともに現場で顕在化し始めている。

こうしたバース管理と庫内の間で生じている「分断」を「統合」へと導く最適解は存在しないのか。その解決策を示してくれるのが、ITシステム開発のシーイーシー(CEC)が2022年11月に提供を開始した「LogiPull WES」(ロジプルWES)。バース管理とマテハン機器をつなぐことで庫内業務全体を最適化する倉庫運用管理システム(WES)である。

▲「LogiPull WES」の概要図

バース管理ユーザーの半数超が求めた「庫内外の連携」

WESとは、物の出入りをマネジメントする「倉庫管理システム」(WMS)とマテハン機器や自動設備をコントロールする「倉庫制御システム」(WCS)の中間または上位に位置づけられる概念である。これまでシーイーシーは、トラックの待機時間削減と物流業務の生産性向上を目的として、バース予約管理システムを軸とするソリューション群「LogiPull」(ロジプル)を展開し、製造業の物流拠点を中心に高い支持を得てきた。

今回開発したLogiPull WESは、それらバース予約管理システムと庫内のマテハン・ロボティクス機器、WMS、WCSとの連携を実現。トラックの来場予定に合わせて入出庫作業計画を作成し、計画に沿って庫内のAGV(自動搬送車)やコンベア、ソーターといった各種マテハン機器を制御することで、トラックの入退場から庫内作業までを一気通貫で管理する。まさに庫内業務のオートメーション化を司る“中枢”といえる。

▲LogiPull WES開発責任者の今村純氏

シーイーシーは、コンビニエンスストアやEC(電子商取引)の一般化により小口配送が急増した2000年代から、ICT(情報通信技術)の力で物流業務改善をけん引してきた独立系システムインテグレーターだが、このタイミングでWESの開発に至った理由は何なのか。それは昨年、LogiPullバース管理システムを導入しているユーザーを対象にした調査がきっかけだった。調査に協力したユーザーの過半数が、「バース管理システムで収集したトラック来場予約などの情報を庫内業務やマテハン機器と連動したいと要望している」という切実な声が届いたのだ。

「バース管理と庫内作業の間で生じる『分断』や『滞留』は、バース予約管理システムが待機時間削減で一定の成果を上げたからこそ見えてきた新たな課題なのですが、この問題はバース管理と庫内業務の効率化を同時に取り組まないと解決できないだろうと考えました」。シーイーシーエリア統括事業本部西日本サービス事業部第二サービス部長で、LogiPull WES開発責任者の今村純氏は振り返る。

バース管理発「車両の到着順に倉庫を制御」という揺るぎない哲学

LogiPull WESの真骨頂である「バース管理と庫内業務の連携」。それは倉庫全体の最適化を図る上での基軸であり出発点でもある。出庫業務を例にして、その工程を具体的に見てみよう。

まず、入口でトラックの来場を車番認識カメラで検知する。同時に、倉庫に対して出荷順が指示される。倉庫側で出庫準備が整うとドライバーに完了通知が届き、車両の誘導が指示される。まさに「車両の到着順に倉庫を制御する」という哲学に基づく、倉庫の内外をつなぐ無駄のないスマートな仕組みを体現する。

(クリックで拡大)

バース管理と庫内業務を司るマテハン機器やシステムとの連携を可能にしたLogiPull WESだが、そのシステムは「計画」「実行」「可視化」の3要素から構成される。「計画」においては、入出庫に関わる作業計画(ガントチャート)の自動作成機能が特長だ。作業計画には入出荷予定や処理能力、トラックの来場予定時間といったさまざまな「予定情報」が集約され、LogiPull WESが過去実績に基づく作業時間を計画(ガントチャート)に落とし込む。作業管理者が、この作業計画を現場の状況に合わせて調整してゴーサインを出すと、計画に沿ってトラック受付から車両誘導、各種マテハン機器と人手による入出庫作業、在庫管理業務へと繋がっていく。

庫内業務の工数削減と脱・属人化、「可視化」による改善サイクル

この計画から実行までの流れ。一見すると人による計画調整が入り込む分だけ非効率に見えるかもしれないが、LogiPull WESの開発責任者である今村氏は、「現時点では調整の余地を残すことが重要です」と力説する。「現実的には道路事情でトラックが予定どおりに来なかったり、庫内の人手作業による遅れが発生したりします。こうしたイレギュラー発生時には、人が状況判断して作業員を投入する方が精度も高くスピードも早いので、バッファが必要なのです」(今村氏)。今後、庫内作業の自動化比率が高まると同時に、調整から実行までの実績が積み上がってくると、より現場の特性に合わせた効率的な計画・実行が可能になるだろう。

こうした効率的な計画と実行の積み重ねは、現場の作業工数を劇的に減少させるだけでなく、熟練スタッフらが経験や勘に基づいて行ってきた業務の「脱・属人化」にも有効な一手となり得る。また、作業計画と進ちょく状況を「見える化」することで、実績に基づく効果的な改善活動にも生かせ、その導入メリットは計り知れない。

▲LogiPull WESと物流関連システム、マテハン機器の連携イメージ

車両・AGV・EVを統合管理、庫内業務の変革に注がれる「本気度」

あらゆる庫内リソースの連動性を重視したシステム構築の先に、シーイーシーが見据えている未来とは、極力人の手を介さないで庫内業務を完結させる「倉庫の完全自動化」だ。バース管理と庫内業務の効率化に同時に取り組むことを決意した同社は、従来の得意分野であるバース予約管理から飛び出し、庫内業務の自動化・効率化にも本気の姿勢だ。

例えば、AGV(無人搬送車)と自動倉庫の連携による「生産・搬送・在庫管理・出庫の自動化」がその一例といえる。製造拠点において、AGVが生産ラインの出口に台車をセットし、台車に製品の積み込みが完了すると台車ごと自動倉庫へ搬送、二次元コードの自動読み取りで入庫が完了する。出庫工程においても同様に、自動倉庫とAGVが連携して指定された場所に製品を搬送する。

自動搬送においては、AGVとエレベーターの連携も可能だ。AGVがエレベーター前に到着したのを検知すると、エレベーターを呼び出し、AGVに乗り込みを指示。到着階ではAGVに降車を指示し、出荷バースへと誘導する。

▲AGVと自動倉庫の連携による「生産・搬送・在庫管理・出庫の自動化」事例

自動化設備の導入加速、「設備・工程間の連携」がより重要に

少子高齢化や働き方改革を背景に、トラックドライバーや倉庫作業員の人手不足が深刻さを極める物流業界。一方で、eコマースの浸透や新型コロナウイルス禍を契機に、配送の多頻度・小口化、スピード対応も急務となっている。

▲シーイーシーの西山充氏

ある民間調査によれば、バース管理システムやWMSなどを含む倉庫自動化ソリューションの市場規模は21年度から5年後には倍増する見通しだ。物流施設における搬送やピッキング、仕分けロボットといった機器の導入はますます加速し、省人化・自動化の波は否応なく押し寄せてくる。エリア統括事業部第二サービス部グループマネージャーの西山充氏は「今後、自動化設備の導入はより一層加速していくが、設備だけでは単一工程の自動化に留まる。システムで設備間・工程間をつなげることが、倉庫自動化においてより重要となってくる」と、力強く語る。

「現場で導入している設備や機器のメーカーが異なる」
「新たな設備やシステム導入にかかる時間と費用がネック」

倉庫の自動化を阻んでいる原因は枚挙にいとまがない。しかし、そんな悩みや困りごとを抱えているならば、諦める前に、ぜひシーイーシーに一度相談してみてほしい。彼らには難題を乗り越える確かな技術開発力と課題解決の実績がある。来年1、2月にはLogiPull WESに関するセミナーが開催される。導入のイメージや具体例、システムの詳細について知るだけでなく、倉庫自動化の「新しい景色」に出逢える絶好の機会になるはずだ。

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