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運送業支援のクラファン、29分で3000万円調達

2022年12月20日 (火)

(出所:クラウドファンディング)

産業・一般クラウドファンディング(東京都渋谷区)は20日、運送事業者の経営改善を支援するクラウドファンディングを行い、開始から29分で目標金額3000万円を達成したと発表した。一般投資家から資金を募り、運送事業者を金融面から支援するファンドの募集を11月に実施した。既に第2弾の準備も始めており、1億4000万円規模のファンドを募る予定。同社によると、運送車両を対象にしたインターネット上で募集するファンドは日本で初めて。

同社は「『所有から利用する時代へ』というトレンドに合わせ、今後もモビリティーファンドを組成し、広く運送事業者の経営環境やドライバーの待遇の改善などのSDGsの取り組みを加速させる」としている。新規車両の導入の際にも積極的に活用してもらうことも想定している。

発表によると、同社が組成するモビリティーファンドは、インターネットで投資家から集めた資金を使い、運送事業者が保有する車両を購入。原則として「リースバック方式」を採用することで、運送会社に対する資金調達をサポートするとともに、投資家にはリース料などの収益から配当を支払う。

運送業界は近年、車両価格や燃料コストや人件費の高止まりが続いて収益性が悪化。同社は資金繰りの改善が求められている企業の資金需要に応えるため、モビリティーファンドを活用。一般的な金融機関が行う融資やリースなどと異なり、運送会社はリースバック方式により車両売却後も同じ車両を使用できる。さらに、既にリースされている車両にも対応が可能で、ケースによっては毎月のリース料が削減できる。

運送事業者の経営改善を目指すクラウドファンディング、社会からの「共感」「応援」を反映した成果に

運送業界の経営環境が厳しさを増している。燃料や車両価格の高止まり、人手不足を背景とした人件費の上昇――。新型コロナウイルス感染拡大を契機としたEC(電子商取引)サービスの拡大で、荷物はいくらでもある状況でなのにも関わらず、それを運ぶための経費が経営を圧迫する。何とも皮肉な現実であろうか。

とはいえ、金融機関の融資にも限度があるし、車両や土地など資産の売却も現場における実務の継続に支障を来たす懸念もある。こうした八方ふさがりの状況で、新たな資金調達の可能性が浮上した。

(イメージ)

自らの活動や夢を発信し、共感する人物や活動を応援したいと思ってくれる人から資金を募るクラウドファンディング。輸送に欠かせないトラックなどの車両について、「所有」ありきで考えるのではなくリースなどより効率のよいサービスを活用することで、こうしたコスト負担の厳しい状況で少しでもスムーズに展開する方策としても注目を集めそうだ。

今回のクラウドファンディングでは、わずか29分で目標額を達成したという。運送事業者の経営改善を目的としたクラウドファンディングの第一歩としては、上々のすべり出しを見せたところだろうか。

ここまで賛同が集まった背景には、やはり運送事業への期待の大きさがあるだろう。社会に欠かせないインフラとして認識されている運送が、今後の持続的な成長への期待の非常に強い機能であるからにほかならない。

社会から「共感」「応援」を受けている運送事業者。運送というインフラが、社会を支える「共有の資産」であるという考え方が広がりを見せている。こうした想いを可視化したのが、今回のクラウドファンディングの最大の成果ではないか。(編集部・清水直樹)

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