ロジスティクス日本ローカルネットワークシステム協同組合連合会(JL連合会)とSustainable Shared Transport(SST、東京都中央区)は7日、2024年問題やドライバー不足といった深刻な物流課題に対応するため、地域物流事業者の連携による持続可能な物流ネットワークの構築を目指し、連携協定を締結したと発表した。

▲連携協定の締結を説明するSST社長の高野茂幸氏
今回の協定は、3つの具体的な取り組みで構成される。第1の「地域をつなぐ物流ネットワークの拡充」では、JL連合会に加盟する1600社超の事業者がSST便のネットワークを担う。幹線運行や積み替え拠点を利用ベースで提供し、日帰り可能な距離での運行により稼働率の向上を図る。すでに双葉運輸(広島市西区)が、広島-福岡間の幹線運行および広島での積み替え拠点を毎日運営している。域内配送は地域の事業者が担い、地域密着型のラストマイル配送を実現する。
第2の「共同輸配送の社会的利用促進」では、組合員が荷主としてSST便を利用する仕組みを構築する。例えば、九州の中小事業者が東北への輸送を受託した場合、自社のリソースは地元業務に集中させ、東北向けの中小ロット荷物はSST便に委託することで、生産性を維持しながら対応できるようにする。
第3の「労働環境の改善」では、共同配送による混載・中継・定時運行を通じて積載率と稼働率を高め、ドライバーの労働時間を安定化。これにより、1便あたりのコスト削減や従事者の収益向上、実車時間の増加、ドライバー負担の軽減といった効果を目指す。

▲握手を交わすJL連合会会長の迫慎二氏(左)とSST社長の高野茂幸氏
役割分担として、JL連合会は1600社のネットワークと荷物情報、SSTはパレット単位予約システムと2万2000便の全国運行網を提供する。SSTはヤマトグループが保有する170万件以上の荷主データと3500社超の物流パートナーを基盤とし、JL連合会の参加により対応力と情報量の拡充を図る。
システム面では、JL連合会の「ローカルネットネクスト」とSSTの輸配送システムのデータ連携を目指す。SST便は現在、宮城-熊本間で半導体や精密機器、医療機器、空調機器などを対象に平日毎日運行しており、すでに10数社が利用しているが、認知度の低さが課題とされる。
JL連合会は36年前の物流規制緩和を機に発足し、全国7ブロックに分かれた113単協、1600社の中小事業者が加盟する。SSTはヤマトホールディングス子会社として24年5月に設立され、同年2月よりオープンプラットフォーム型の共同輸配送事業を展開している。
収益モデルは、JL連合会が発荷側2.5%、受荷側1%の計3.5%の手数料を徴収し、SSTは運賃にマージンを含めて収益を確保する。システム連携の具体的スケジュールは未定だが、実績ベースで段階的に進める方針。
JL連合会の迫慎二会長は、「36年前から帰り便の空車という課題に取り組んできた。SSTとの連携で従来の荷主との関係を継続しながらサービス向上につなげたい」と期待を示した。
SSTの高野茂幸社長は、「困り始めている地域にこそ、共同物流を選択肢として提示し、事業者自身が生産性向上に向けて動けるような提案を行いたい」と述べた。
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