調査・データ日本ロジスティクスシステム協会(JILS)はこのほど、荷主企業などを対象とする2022年度物流コスト調査報告書(速報値)を公表した。重要指標である「売上高物流コスト比率」は5.31%と、前回21年度調査から0.39ポイント下がった。物流費の値上げ要請を受けた企業のうち95.2%が「応じた」と回答し、こちらは8.5ポイント上昇した。今回の22年度調査結果は、対象企業の足元の状況ではなく1年前の21年度の実績値を集計したものであり、ことし本格化した燃油高騰やそれによる輸送費値上げは反映されていないことに注意が必要だ。
発表によると、回答企業(195社)の売上高物流コスト比率(各企業の物流コスト金額を売上高で割った値)は、5.31%で全業種平均だった。この比率は物流事業者からの値上げ要請などのため長期的に上昇傾向にあり、前回の21年度調査(20年度実績)で5.70%と、過去20年間の調査と比較して最も高い水準を示していた。
22年度調査(21年度実績)で0.39ポイントダウンした理由について、JILSは「上昇トレンドに対する揺り戻しとも見える。新型コロナウイルス禍当初の得意なビジネス環境から企業の売上高が回復し、その回復の勢いが物流コスト単価の増加を上回ったことに起因する」と分析している。
調査のもう一つの重要ポイントである物流企業からの「値上げ要請」の有無については、回答企業(164社)のうち76.2%が「要請を受けた」と回答した。その割合は前回21年度調査(20年度実績)と比べて9.3ポイント上昇した。
そして「要請を受けた」企業のうち95.2%の企業が「応じた」と回答した。21年度調査では86.7%だったので、8.5ポイント上昇した。JILSは「輸送費を中心に値上げ要請に向けた動きが再度活発になっている様子がうかがえる」と見ている。
調査は、22年7月から11月にかけて行ったアンケートを集計した。195社から有効回答を得た。データについては「調査時点における直近の決算期」としており、21年度(2021年4月~22年3月)の回答が3分の2程度を占めている。JILSは「原則的に21年度の実績値を示している」と断っている。
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