ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

一年の計、経営と現場の「危機感」の共有が第一歩だ

2023年1月4日 (水)
LOGISTICS TODAYがニュース記事の深層に迫りながら解説・提言する「Editor’s Eye」(エディターズ・アイ)。今回は、「24年問題対応やDX加速へ決意新た、年頭所感」(1月4日掲載)を取り上げました。気になるニュースや話題などについて、編集部独自の「視点」をお届けします。

ロジスティクス2023年が始まった。物流業界は、構造的な課題である「輸送品質向上の要請への対応」「現場を担う人的リソースの確保」「現場業務の効率化を促すDX(デジタルトランスフォーメーション)」に直面している。来年に迫った「物流の2024年問題」も見据えた具体的な施策の迅速な構築が、行政と民間の両軸に求められる。将来の物流サービスの姿を決定付ける節目の年と位置付ける覚悟が問われる。

物流関連の各企業・団体のトップが、恒例の年頭所感を発信している。それぞれ社風やトップの気概を反映した多彩な内容を展開しているが、全体的な傾向を集約するならば、先に掲げた3つのテーマに即して従業員を鼓舞している。

換言するならば、昨年までの年頭所感と全体的に大差ないトーンに収めている印象でもある。新年の最初の勤務日に、のっけから強烈な意識改革を促すようなフレーズを並べても、逆に士気が下がるとの配慮をしているかのようだ。

「取り組みを強化していきましょう」「連携を深めることが大切です」――。こうした耳に心地良い言葉で、物流業界の置かれている厳しい現実に対峙(たいじ)する覚悟を促すことが果たしてできるだろうか。

全従業員にこうした実情を知らしめることが、現場を含めた事業運営の最適化に寄与するか否かは、その経営者の判断によるところも少なくないだろう。とはいえ、経営者のただならぬ「危機感」を現場までとどろかすことで、団体や企業といった組織が同じ価値観を共有できる契機になるのは間違いないと考える。その好機なのが、まさに仕事始めなのだ。

「一年の計は元旦にあり」。我々にとって元旦は「仕事始めの朝」と読み替えてもよいだろう。経営と現場が危機感を共有すること、それが難局に挑む第一歩だ。さて、23年はどんな荒波が押し寄せるか。「想定を超える過酷な事態だった」と回顧する、それが世の常だ。(編集部・清水直樹)