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郵政と中電、CN化へ集配EVや再エネ普及で提携

2023年1月12日 (木)

環境・CSR日本郵政と日本郵便、中部電力は11日、カーボンニュートラル(CN)化の推進に向けた取り組みを共同で実施していく戦略的提携について、合意書を締結した。2050年のCN達成に向け、両グループの有する経営資源やノウハウを活用。郵便局の集配用車両へのEV(電気自動車)導入の拡大をはじめ、郵便局での充電設備や蓄電池の整備、太陽光発電などの再生可能エネルギー導入といった取り組みを加速させる。

今回の合意に基づき、30年以降、天白郵便局(名古屋市天白区)で再エネ利活用の最適化を実験的に行い、試行結果を踏まえてさらに展開を検討する。

蓄電池については、電力の需給バランスを調整する新たな仕組み「デマンドレスポンス」(DR)に活用する。天白郵便局が蓄電池を使用することで、電力需要パターンを変化させて使用電力のピークをシフトさせ、再エネ普及に寄与する。

▲天白郵便局での実験概要(出所:日本郵政)

日本郵政グループは、2万4千か所の郵便局を活用して30年度までに温室効果ガスを19年度比46%削減を目指している。また中電グループも50年までに事業全体の温室効果ガスの排出量ネットゼロなどを目標に掲げている。取り組みでは、災害に強いまちづくりへの視点から、停電時に太陽光発電と蓄電池を使った災害対応力の強化も図る狙いがある。

郵便局が地域の環境活動拠点になる日はやってくるか

政府の掲げる2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、業界を超えた具体的な動きが加速してきた。物流業界では、トラックや船舶といった輸送モードを活用したビジネス特性から、温室効果ガスの排出削減を推進する立場で活動を展開する発想が主流だ。

一方で大型物流倉庫における太陽光発電など、積極的な環境対応策を前面に出した動きも広がり始めており、23年はこうした両方のアプローチでカーボンニュートラル実現に向けた取り組みがさらに進みそうだ。

日本郵政と日本郵便、中部電力の3社による今回の戦略的提携は、まさに後者の取り組みに相当する動きだろう。

いくら大規模な物流施設といっても、特定の開発事業者が全国にあまねく展開できるわけではない。物流施設の開発事業者は、その地域におけるニーズを分析してビジネスの成否を判断した上で構築するものだからだ。

ところが郵便局は違う。こちらはまさに究極の生活インフラであり、全国にネットワークが張り巡らされている。さらに郵便局を拠点として集配用車両も稼働している。この郵便局が環境対応の機能を持つことになれば、全国の各地域におけるカーボンニュートラル化の推進拠点として位置付けることができる。モノを集配する物流サービスを展開する事業者ならではの取り組みを広く国民に周知・啓発することも可能になるだろう。

地域における生活インフラ拠点として定着してきた郵便局。新たに持続可能な社会の実現に向けた環境活動の象徴的なステーションとしての役割を担うことができれば、物流という仕事に対する国民の視点も変わってくると思う。(編集部・清水直樹)

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