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NX国内初、日通が近距離配送でEVトラック導入

2023年1月13日 (金)

▲福岡支店に納車されたEVトラック(出所:NIPPON EXPRESSホールディングス)

環境・CSRNIPPON EXPRESSホールディングス(NXHD)は13日、グループの日本通運がEV(電気自動車)トラックを導入したと発表した。車両は三菱ふそうトラック・バス(川崎市中原区)の量産型EVトラック「eキャンター」で、2022年12月15日に横浜、26日に福岡の両支店に1台ずつ納車された。近距離の引っ越しや配送の業務で活用する。NXグループとして日本国内で他社製を含めてEVトラックを導入するのは初めて。

日本通運は23年中に計10台を導入する予定。CO2や汚染物質を排出しない環境に優しいEVトラック導入を推進し、脱炭素化やゼロ・エミッション輸送をけん引する。

NXグループは長期ビジョンの重要ポイントに掲げる「気候変動への取り組み」に向け、23年度までにCO2を13年度比で13%減の目標達成を目指す。

同グループでは、これまでもLPG(液化石油ガス)を燃料とする車両やハイブリッド車1万2000台以上を導入済み。このほか30年までに、燃料電池車(FCV)のトラック23台の導入を計画しており、カーボンニュートラルを積極的に進めている。

国内の輸送業界にもEVの波が本格的に到来か、中小を含めた各社の出方も注目だ

国内の輸送業界にも本格的なEVの時代が到来するのか。すでにラストワンマイルを主戦場とする同業他社ではEV投入は進んでいたが、日本通運がいよいよ量産型EVトラックの導入に踏み切ったことで、中小運送事業者を含めて業界全体にEV活用に向けた動きがさらに加速するのか。各社の出方に注目が集まりそうだ。

日本通運がEVを導入するのは、環境対応に積極的な姿勢を示すことにより、政府が目標に掲げるカーボンニュートラルの実現に貢献するためだ。脱炭素化やゼロ・エミッション輸送は、そのための手段と考えるのが現実的だろう。

とはいえ、今回のEV導入の狙いは決してそれだけではなさそうだ。こうした気候変動への取り組みに注力する姿勢は、企業価値向上にも効果をもたらす。

(イメージ)

今回の日本通運のEVトラック導入をNXグループとしての施策と位置付けるならば、上場企業として投資家の評価にも配慮する必要がある。投資家を含めたステークホルダーの間で、持続的な社会の実現に向けた企業活動を評価する基準の一つとして、こうした環境対応の「本気度」を慎重に見定める動きが強まっているからだ。

足元の収益事業を重視するあまり、環境対応にはなかなか本腰を入れることができずにいた、それが事業者の本音だろう。たとえ広く社会の「要請」に配慮する形であるとしても、持続的に成長できる社会を実現するために気候変動への取り組みを重視する企業姿勢は、決して意味のないことではなく、むしろ率先して取り組むテーマであると言える。

輸送業界における車両のEV化の話題を耳にすると、どうしても企業価値向上の手段としての動機を勘繰ってしまう―。こんな思考回路は、もはや時代遅れであると戒めるべきなのだろう。輸送業界におけるEV導入の機運の高まりを期待するのは、こうした思惑もあるからなのだ。(編集部・清水直樹)

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LOGISTICS TODAY編集部
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