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全方位型の顧客訴求で使いやすい冷凍冷蔵倉庫を提供する「GLP神戸住吉浜」

全館冷凍冷蔵マルチ型施設の「標準型」示す日本GLP

2023年8月30日 (水)

話題神戸市の最東部に位置する東灘区。神戸港内に浮かぶ人工島・六甲アイランドと、世界初のダブルデッキ連続トラス式斜張橋である六甲大橋で結ばれているのが「住吉浜町」だ。ミナト神戸を代表する産業集積エリアとして発展。1997年の阪神高速道路湾岸線「住吉浜出入口」開設も契機となり、工場や物流施設が相次いで進出している。

(イメージ)

この住吉浜町で、国内で初めて完工する全館冷凍冷蔵マルチテナント型物流施設(冷凍冷蔵マルチ型倉庫)の開発プロジェクトが進み、早くも業界の話題を集めている。手がけるのは、全国各地を舞台に物流施設ネットワークの構築を急ピッチで進めている日本GLP(東京都中央区)だ。

物流施設に付加価値を追求する日本GLPは、EC(電子商取引)サービスの拡大などを背景とした消費者動向の変化に着目。食品から医薬品まで、低温物流の対象が広がり続けるなかで、新たな価値を提供する戦略として掲げるのが、冷凍冷蔵マルチ型倉庫のシリーズ展開だ。将来のブランド化も視野に入れた日本GLPの挑戦は、ここ住吉浜でその狼煙(のろし)を上げようとしている。

住吉浜町という立地の意義を示すキーワード、それは「食品」だ

そもそも、日本GLPがここ住吉浜での冷凍冷蔵マルチ型倉庫「GLP神戸住吉浜」の開発を決めた理由は何か。

▲「GLP神戸住吉浜」の周辺地図(クリックで拡大)

「食品に関連した輸入貨物の荷揚げが多い神戸港に近いことが最大の要因です。加えて、六甲アイランドを中心に食品メーカーの工場や倉庫も近隣に多く立地しています。関西圏における食品配送拠点として絶好の立地条件にあるというわけです」(駒俊志・営業開発部シニアマネージャー)。原材料を含めた食品関連の貨物の「受け入れ」と「配送(特に店舗配送等流通系の配送)」の両方のニーズがあるのだ。

神戸をはじめとする関西は、歴史的に食品関連の製造拠点が多く立地することで知られてきた。京阪神を中心とした全国有数の大消費地を擁する土地柄であることも考慮すれば、こうした冷凍冷蔵倉庫の荷主企業などの高い需要は想定の範囲内と言えるだろう。

この住吉浜は、輸入食品関連貨物の取り扱いに欠かせない動物検疫所の指定を受けることが可能な立地である。輸入畜産物の検疫をスムーズに進められることから、食品関連のメーカーや商社などに入居メリットを訴求する狙いだ。

マルチテナント型ならではの2層式で目指すは、冷凍冷蔵マルチ型倉庫の「標準型」

全館冷凍冷蔵のマルチテナント型であることから、その機能に注目が集まるGLP神戸住吉浜。日本GLPは、入居者に高い価値を提供できる機能を設けることで、冷凍冷蔵マルチ型倉庫の「標準型」を提示しようとしている。

▲日本GLP営業開発部シニアマネージャーの駒俊志氏(左)と営業開発部シニアマネージャーの草原洵也氏

「GLP神戸住吉浜の機能面での最大の特徴、それは『2層式メゾネット構造』であることです」(営業開発部・草原洵也シニアマネージャー)。4階建てのGLP神戸住吉浜は、1階と3階に接車バースがあり、「1階と2階」「3階と4階」の組み合わせで区画を提供する2層タイプの仕様だ。つまり、入居者は4フロアの縦使いではなく、2フロアのみで活用できるというわけだ。

「従来の冷凍・冷蔵倉庫は、1階にバースがあり上階で荷物を保管する『ボックス型』が主流でした。そうすることで容積を効率よく活用する利点がある一方で、荷物の移動に手間を要する課題もありました。2層式とすることで、限られたスペースを無駄なく活用しながら物流作業の効率も高めることができると考えたのです」(草原氏)

多様な顧客層に訴求できる「全方位型」の仕様

日本GLPは、この冷凍冷蔵マルチ型倉庫の第1号物件にこうした仕様を採用することで、どんなサービスを実現しようとしているのか。草原氏は続ける。「保管と配送の両方のサービスを提供できる『全方位型』の冷凍冷蔵倉庫。これがGLP神戸住吉浜のコンセプトです」

▲「GLP神戸住吉浜」の完成イメージ

保管と配送。それぞれ個別に顧客層が存在するだけでなく、湾岸部と内陸部では倉庫のニーズも対照的だ。「こうした多様な顧客が一つの倉庫に集結することで入居企業様同士での取引や協業など、ビジネスにおける『共創』という新たな価値を生み出す。我々の期待はそこにあります」(営業開発部・伊藤晋シニアマネージャー)

全方位型のもう一つの方向性「中小事業者にも使いやすい設定」

全方位型の強みは、こうした機能による多様性だけではない。冷凍冷蔵倉庫の世界は、水産品の鮮度保持のための製氷業をルーツとすることからも分かるとおり、倉庫業界のなかでも独自の発展を遂げてきた。こうした背景から、常温(ドライ)倉庫の開発事業者が冷凍冷蔵専用施設を展開するビジネスモデルを本格的に構築する事例は皆無と言ってよかった。

▲日本GLP営業開発部シニアマネージャーの伊藤晋氏

その結果、食品の低温物流を担う中小事業者は必然的に専業事業者が建てた冷凍冷蔵倉庫の一部を賃借することになる。専業事業者は保管料や荷役料で稼ぐことを生業としているため、稼働時間や作業員の充当などで制限が多く、必ずしも最適な条件でないケースも少なくないのが実情だ。「こうした課題を抱える中小事業者でも使いやすい冷凍冷蔵倉庫スペースの提供。それも、我々がGLP神戸住吉浜で挑む取り組みなのです」(伊藤氏)

常温倉庫に自ら冷凍冷蔵機能を導入するとなれば、巨額の初期投資が必要になる。さらには、退去時の原状回復工事でさらにコストがかさむ。「常温倉庫と同じ感覚で冷凍冷蔵倉庫を使えるメリットを実感していただく。こうした実績に基づく物流施設の『新たなスタンダード』を構築したいと考えているのです」(駒氏)

物流不動産開発の先駆者が巻き起こす「新潮流」

GLPはGLP神戸住吉浜の建築工事を2025年2月末に完了予定。六甲アイランドでは前年2024年3月に「(仮称)六甲プロジェクト」も完成する予定だ。冷凍冷蔵マルチ型倉庫の運用がスタートするその年を「冷凍冷蔵マルチ型倉庫元年」と位置付ける。

新しい物流の「カタチ」を提供し続ける日本GLP。神戸を舞台とした新たな挑戦は、物流の姿をどう変えていくのか。常温倉庫で全国ネットワークを構築して多様な物流ニーズに対応してきたその手腕を、今度は冷凍冷蔵という新たな土俵で振るうことで、新境地を見出そうとしている。社会が求める物流ニーズの変化をいち早く把握し、独自かつ新しいアイデアで応える物流不動産市場の先駆者が、新たな潮流を巻き起こす。

日本GLPの冷凍冷蔵物流施設
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