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持続可能な物流実現へ実効性ある措置を視野に

物流計画提出や統括者選任も、検討会が法規制素案

2023年2月17日 (金)

行政・団体経済産業、国土交通、農林水産の3省が主催する「持続可能な物流の実現に向けた検討会」の第6回会合が17日開かれ、物流課題の解消への実効性を担保するため、法的な規制を視野に入れた「中間とりまとめ」が固まったと明らかにした。2023年夏ごろの最終とりまとめに向け、業界団体などへのヒアリング実施に向け、政府による「特定事業者」の指定や「物流管理統括者」の選任義務といった新たな法的措置を講じる素案が示された。

検討会は、荷主や運送事業者への物流に関する計画作成や取り組みの報告を求める手法を策定する上で、省エネ法が法体系として確立されていると指摘。それを参考として例示しつつ、ドライバーの待機時間、荷役時間などの労働時間削減や納品回数の減少といった物流政策の観点から「新規立法措置を行うことを念頭に検討する」として素案を策定した。

「特定事業者」を指定

この日の会合で、新規措置案として提示されたのは「発荷主」、「着荷主」、「物流事業者」それぞれに対するもの。発荷主には、まず政府が発荷主事業者の物流生産性向上の判断基準を提示する。基準は大臣告示として作成、公表するが、「業種ごとに取り組み内容が異なるため業種別基準の作成を可能にする」といった配慮も必要と付け加えた。

その上で、輸送量が一定規模以上の事業者を「特定事業者」に指定。生産性向上の中長期計画の作成と政府への定期提出を義務化する。さらに、毎年度の取り組み状況の報告も求める。取り組みが判断基準に照らして、著しく不十分な場合は政府が「勧告・命令」するとした。

「物流管理統括者」の選任

加えて、個社ごとに役員クラスが責任者として「物流管理統括者」として選任することも義務付ける。統括者は中長期的な計画の作成事務や生産性向上に関する統括管理をする役割を担う。統括者の選任・解任は、所管大臣に届け出る。経営者層を含めて物流生産性向上への意識醸成を図るのが目的という。

判断基準の内容としては、物流生産性向上の取組方針と効果の把握、目標などを盛り込み、輸送効率化や労働時間削減、運賃の適正収受に関する措置を念頭に置く。

着荷主、物流事業者に関しても同様な措置を素案とする。ヒアリングでは、こうした措置案の導入に向けて業界ごとに実態把握や必要な設備投資などを聞き取る。

業界や製品特性に配慮した仕組みを

会合では、経産省の担当者から、規制だけでなくインセンティブや別の施策と組み合わせることが、新法による措置の実効性を高めるとの考えが示された。

中間とりまとめの文書は全18ページ。1月に行われた前回の検討会で中間案としていたが、2月8日付で経済産業省の同検討会ホームページで公開した。

中間とりまとめについては、この日出席した日清食品の担当者は「製配販全体(社会全体)で物流改善に向けた意識改革が図れる措置となっている」と評価。一方で、業界や製品特性に応じて最適化は異なるため「画一的なルール・義務化にならないよう配慮を」と求めた。

さらに、ルールを順守するよう踏み込んだ措置や仕組みづくりの必要性にも言及。非財務情報項目に物流関連情報を追加するよう開示義務化をはじめ、物流生産性の向上に対するインセンティブ(認定や表彰など)や補助金や免税といった金銭的支援も提案した。

また、「荷主対策の強化」に言及したのは全国物流ネットワーク協会。手待ち時間を恒常的に発生させている荷主への施策を強化し、実効性を高めてほしいと要望しつつ「手待ち時間を発生させているのは特定の荷主とされる。ピンポイントで効果が上がる運用を」と付け加えた。

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LOGISTICS TODAY編集部
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