国際大日本印刷(DNP)は9日、フィリピンでラストワンマイルの低温度帯配送コールドチェーンを対象にした、デジタル配送管理システムを活用した物流サービスの実証事業を実施したと発表した。国土交通省のデジタル技術を活用した物流最適化ソリューションの海外展開支援に係る事業で、同社開発のデジタルシステムと冷凍・冷蔵車に比べて低コストで導入できる「DNP多機能断熱ボックス」を掛け合わせた。
今後市場への適応性を検討しながら、ベトナム、インドネシアなど東南アジアへの水平展開を目指す。
発表によると、フィリピンでは新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけに、オンラインショッピングの利用が増加し宅配需要が高まっている。これに伴い、リアルタイムでのドライバーの配送状況の把握やコールドチェーンの普及、雇用の流動性といった課題が顕在化しており、実証はこうした課題解決を目指して2月10〜24日に実施した。
実証ではデジタル配送管理システムにより、これまでアナログで管理していた配送指示をウェブ上での管理に変更。配送ドライバーと荷主との意思疎通は、これまで一般的だったショートメッセージ(SMS)や電話、紙から専用のスマートフォンアプリに切り替えた。ドライバーは業務の進ちょく状況をアプリで更新し、管理者はウェブ画面で位置情報や状況を把握できるようになり、配送のミスや時間短縮につながった。

▲デジタル配送管理システム。右はウェブ画面(出所:大日本印刷)
同システムの導入により、現地でタクシー(トライシクル)ドライバーをしていた人材が需要の高い配送ドライバーとしても活躍できる機会創出にも効果を発揮。ヒトだけでなくモノも扱える人材に転換し、新たな雇用を生むきっかけにもなりそうだ。

▲DNP多機能断熱ボックス
断熱ボックスは電源が不要で、内部の温度を長時間かつ一定範囲に保つことが可能。生鮮食品や医薬品といった温度管理が求められる荷物の配送を念頭に、実証では冷凍食品を配送した。冷凍・冷蔵車のチャーターと比べ、より低コストで温度管理できるため、今後は小規模な小売店に常温商品以外も届けられる可能性を確認した。
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