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ケンコーコム、アマゾンとの物流契約を解除

2012年9月27日 (木)

話題ケンコーコムは27日、2005年以来続いていたアマゾン(Amazon.com Int’l Sales Inc.)とのフルフィルメント契約を来年1月1日付で解除することを決めた。

同社はアマゾンに商品を卸し、その物流・出荷業務をアマゾンから受託する形の取引を行っていたが、6月に楽天が51%超の持分を保有する筆頭株主となるなど、楽天との結びつきが強まる中、アマゾンとの「共存」関係を清算し、楽天グループとして競合関係にシフトする姿勢を明確にしたものとみられる。

アマゾンが日本でビジネスを展開してから5年後の05年以降、「Amazon.co.jp」向けに商品を卸すと同時に、アマゾンから物流・出荷業務を受託するフルフィルメント契約を続けてきたが、今回の契約解除を前に、既に8月から取引を大幅に縮小したという。

ケンコーコムは、事業拡大策の一環としてドロップシップ(自社で商品在庫を持たず、受注した際にメーカーや卸売業者へ直接発注して販売する取引形態)を積極的に行っているが、これは「他社に商品を売ってもらう」という販売代理店的な販路拡大策にほかならず、アマゾンとの関係もケンコーコムがアマゾンにドロップシップサービスを提供してきたと読み替えることができる。

それにもかかわらず、アマゾンとの契約解除に踏み切る理由について、ケンコーコムでは「(フルフィルメント契約スタートさせた)7年前とは状況が異なり、Amazon.co.jp上で販売される競合商品が増えてきた。一時的に販路が縮小することになるが、経営判断として選択と集中を図ることにした」と説明している。

同時に、アマゾンとの契約解除後も「アマゾン以外とのドロップシップ取引を積極的に展開する方針に変化はない」ことを強調している。

ケンコーコムはことし6月の楽天との資本提携に先立ち、昨年5月から物流業務を楽天の物流子会社に委託するなど、基幹業務で楽天との結び付きを強めてきた経緯がある。楽天の物流拠点でアマゾン向けの出荷業務を行っていることとなり、楽天グループとして見た場合、社内には「敵に塩を送っている」との見方もあった模様だ。

同社は現在、楽天物流への委託を含め、福岡県と千葉県の拠点を中心に全4拠点で物流業務を展開しているが、今後は物流の効率化をさらに進めるため、物流拠点の再配置といった抜本的な検討も視野に入れている。こうした流れを考えると、楽天グループとしての自社の立ち位置を明確化するのは、自然な判断だといえよう。