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半導体産業集積、熊本・台湾間で航空輸送を実証

2023年3月24日 (金)

国内熊本県内で急速に進む半導体関連企業の集積を背景に、阿蘇くまもと空港を国際貨物航空輸送の拠点にする構想が模索されている。23日には新旅客ターミナルビルの開業に合わせて、台湾への貨物輸送の実証が初めて行われ、西日本鉄道国際物流事業本部や日本通運、郵船ロジスティクスなどが参加した。同空港にはこれまで国際貨物輸送の実績がほとんどなく、恒常的な輸送路を築くには課題も多いが、大きなビジネスチャンスであり、物流業界の動きも活発化しそうだ。

▲実証での貨物積み込みの様子(出所:西日本鉄道)

熊本県交通政策課などによると、23日の貨物輸送の実証は県と空港運営会社の熊本国際空港が主催して行った。新ターミナルの開業に合わせて中華航空(China Airlines、台湾)が運航した台北・熊本間のチャーター便(旅客便)の復路の貨物スペースを使って少量の輸出を試した。荷物は、電子部品メーカーの日本電子材料(兵庫県尼崎市)の半導体部品と地元酒造会社の焼酎、プロサッカーチームのロアッソ熊本のユニホームなどだ。

初めての実験だったため、半導体部品が段ボール箱1個だけといったように、量的には限られたサンプル輸出となった。荷主の日本電子材料熊本事業所によると、台湾の子会社に向けて部品発送を試したという。現在は福岡空港経由で部品や完成品をやり取りしており、「将来、阿蘇くまもと空港からダイレクトに台湾に送ることができれば、とてもありがたい」と、担当者は期待感を示す。

熊本県内では半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の工場建設が進んでいるほか、他の半導体関連企業の進出や設備増強の動きが相次いでいる。実証に参加した西鉄も、23日に発表した3か年の中期経営計画で、「半導体産業集積が進む熊本地区での事業拡大」を重点項目に掲げている。阿蘇くまもと空港を通じた貨物輸送が、現在の国内線にとどまらず、台湾をはじめとする国際線に広がることを視野に入れ、輸送需要の高まりが予想される熊本県を重要な地域の一つと捉えている。

西鉄をはじめ物流各社は、九州での国際貨物輸送の中心の一つとして発展が期待される同空港のさまざまな取り組みに参加することで、熊本や九州と世界をつなぐサプライチェーンの確立に関与していく構えだ。

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LOGISTICS TODAY編集部
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