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最先端技術を結集、花王の完全自動型倉庫が完成

2023年3月27日 (月)

▲豊橋工場の新倉庫内部(出所:花王)

拠点・施設花王は27日、完全自動化が可能な次世代倉庫として建設を進めていた豊橋工場(愛知県豊橋市)の新倉庫が同日完成し、31日から運用を開始すると発表した。フレームワークス(東京都港区)の制御システムやダイフクの自動倉庫、Mujin(ムジン、同江東区)のAGV(無人搬送機)、Hacobu(同港区)のトラック予約受付サービスなど、いまの物流業界の最先端を走る企業の自動化技術を結集しており、トラック運送や倉庫運営の方向性を業界内外に示すエポックメーキングな倉庫が誕生した。

花王や各設備の提供企業の発表によると、新倉庫は建築面積7200平方メートル。豊橋工場で生産するスキンケア、ヘアケア製品を中心に商品を保管・出荷する。少量多品種製品に柔軟に対応できる設計とし、物流作業の完全自動化と、隣接する工場および物流拠点との一体運営や、トラックによる入出荷の効率化を実現する、これまでにない拠点となる。同社は新倉庫で「豊橋コネクテッド・フレキシブル・ファクトリーの実現」と「持続可能なサプライチェーン」を目指すとしている。

テックベンチャーたちの連携が実現

新倉庫にはいま物流の各分野を席巻している数々の企業の技術が結集されている。設計・施工は物流施設の開発・運営で業界をリードする大和ハウス工業が設計・施工を担った。ダイフクのパレット立体自動倉庫は120万ケースの保管能力を持ち、ムジンの製品はAGVのほか知能ロボットも導入。大和ハウスグループのフレームワークスの自動設備制御システム「Warehouse Control System」(ウェアハウス・コントロール・システム、WCS)がそれらの自動化設備を制御する。複数の荷物の積み付けパターンを自動で行うなど、労働力不足に対応できるよう人手に頼らない完全自動化を実現できる設計となっており、それらは花王が主導で行ったという。これらの設備により、1日あたり4万ケースの入出荷能力を確保した。

これらの自動化設備に加え、配送面ではHacobuのトラック予約受付サービス「MOVO Berth」(ムーボ バース)を用いる。トラックの予約と到着状況を考慮し、WCSから出庫指示ができるシステムを構築した。トラック待機時間を削減し、ドライバーが安心して活動できるホワイト物流も推進する。花王が豊田自動織機などと取り組んでいる自動運転フォークリフトの実証事業とも連携しており、多品種製品のパレットへの積み付けと荷降ろしが同時にできるようにした。このほか、RFIDを利用して製品情報とパレットを連携し、仕分け作業などを自動化し、生産工程を含めたトレーサビリティーを強化した。

先端技術を提供したテックベンチャーの側も「社会全体の物流を最適化するためには、多様な外部サービスとの連携が不可欠」(ハコブ)と考えており、日用品・化粧品業界の雄であり日本を代表する大手メーカーである花王の胸を借りる形で、他社との連携を実現できたことの重みを感じているようだ。花王もトラックドライバー不足やEC(電子商取引)拡大による輸送量増加といった物流課題に対応するため、他メーカーや物流事業者などと広く連携して共同輸送など効率化を実現する「共創型物流プラットフォーム」の構築にも取り組んでいく構えだ。



▲(左から)デパレタイズ・パレタイズロボット、AGV

花王、愛知・豊橋工場で生産と物流一体型拠点構想

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