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「SOSiLA」ブランドで新発想の物流拠点を展開

2023年5月22日 (月)

話題「SOSiLA(ソシラ)」ブランドで物流施設を展開する住友商事が、神奈川県厚木市での開発プロジェクトを本格化している。本年7月の「SOSiLA厚木飯山(あつぎいいやま)」を皮切りに、2024年7月に「SOSiLA厚木金田(あつぎかねだ)」、さらに25年末には「SOSiLA厚木上依知(あつぎかみえち)」を相次いで完成させる計画だ。

▲SOSiLA厚木飯山の完成イメージ

住友商事では、進化し続ける物流ニーズへ的確に対応するため、消費地や生産拠点への利便性が高い立地を重視。商社ならではの実利的なプロジェクト運営を徹底する同社は、高速道路網の要衝を構成し充実した後背人口も抱える厚木エリアで存在感を示そうとしている。その実現に注力する取り組みに迫る。

悲願だった厚木エリアでの物流施設プロジェクト

厚木市の中心部から北西へ進むと、完成に向けた工事が佳境を迎えている物流施設が目に飛び込んでくる。丹沢山地を望む相模川西岸の平野に閑静な住宅街や事業所が混在する飯山地区は、東名高速道路「厚木インターチェンジ(IC)」と首都圏中央連絡自動車道(圏央道)「圏央厚木IC」に、いずれも車で20分圏内に位置する産業適地でもある。ここを物流施設開発プロジェクトの有力候補地として白羽の矢を立てたのが、住友商事だった。

▲住友商事物流施設事業部開発第4チームリーダーの堤亮介氏

「『関東の玄関口』であること、さらに神奈川県中央部の人口や産業の集積地であること。ラストワンマイルを含めた消費地近接型の物流施設を展開する最適な立地であると判断しました」(物流施設事業部開発第4チームの堤亮介リーダー)。厚木飯山プロジェクトはSOSiLAシリーズの新たなラインアップとして、ぜひとも取り組みたい案件だった。

住友商事では、 “悲願“のプロジェクトであるSOSiLA厚木飯山を消費地近接型の物流施設として整備するために打ち出したコンセプトがある。それが「セミマルチ型」だ。

配送と在庫の能力を持つ新機能「セミマルチ」の物流施設

「半分」「いくぶん」を意味する接頭辞である「セミ」と、「数量や種類が多い」さまを示す形容する「マルチ」を組み合わせた「セミマルチ」。住友商事が、このコンセプトに沿って、SOSiLA厚木飯山で実現しようする取り組みとは何か、堤氏が解説する。「配送能力と在庫能力を併せ持つ構成とすることで、ここ厚木エリアに集積する他社の物流施設との差別化を図るのが狙いです」。

▲SOSiLA厚木飯山は、ラストワンマイル配送拠点としても広域物流拠点しても活用することができる立地だ(クリックで拡大)

一般的に、消費地に近い都市部の物流施設は配送拠点としての性格が強い。一方で、郊外型は商品在庫を手厚くするためのバックヤードとしての役割を求められる。SOSiLA厚木飯山は、消費地近接型ならではのラストワンマイルを含めた配送業務拠点として提案できる。また、高速道路網の要衝としての立地を生かした在庫機能も見逃せないポイントになる。それならば両方に対応できる仕様にすればどうか――。住友商事はこのSOSiLA厚木飯山の完成を、このエリアが持つ多様な物流ポテンシャルを一手に引き受ける新発想の物流拠点として発信する好機と捉えている。

「1階と3階に接車バースを設けて配送業務の利便性を高めるとともに、それぞれ2階と4階を保管スペースとすることにより、セミマルチ型の物流機能という強みを示せるわけです」(堤氏)。2階と4階の天井高を標準仕様よりもグレードアップするなど、細かい配慮も欠かさない。バースは奥行き15メートルで45フィートトラックまで対応可能なほか、間口は11.5メートルと、大型トラック3台分を確保。倉庫部分は最小3124坪(1万327平方メートル)で、最大4社のテナントにスペースを提供できる仕様としている。

「2024年問題」に燃料高と、物流コストは高止まりの傾向が続く。こうした状況下でいかに効率的な物流業務を支援できるか。物流施設開発ビジネスの成否は、こうした新たな価値をいかに提供するかにかかっている。SOSiLA厚木飯山プロジェクトは、こうした将来の物流施設開発のあるべき方向性を示していると言えるだろう。

物流施設を「公共の社会プラットフォーム」に

住友商事がこだわる物流施設の考え方は、テナント各社の物流ニーズを的確に把握してその実現に奔走するだけではない。テナント従業員の就業環境の確保を含めた、よりよい「街づくり」に参画を重視する姿勢にもある。それもSOSiLAブランドの真髄だ。

▲SOSiLA厚木飯山施設内ラウンジの完成イメージ

「従業員向けのラウンジを整備、ソファやオープンテラスなど、女性視点を意識した居住性を追求。さらに、音響や植栽、開放感のある高い天井など、快適な空間を演出します」(堤氏)。そのほかにも敷地の北側に広がる住宅地の環境にも配慮して、バースや物流業務の作業スペースを全体的に南側に寄せるなどの工夫を凝らしている。

「こうした基本設計の根幹にあるのは、物流施設を『公共の社会プラットフォーム』として機能させる発想です」。堤氏は、SOSiLA厚木飯山を物流機能だけでなく地域発展のベースにしていく壮大な「夢」を描いている。

総合商社だからできる、物流施設開発の「新しいカタチ」を提案

住友商事はこの2年半の間に、厚木エリアで3拠点を稼働させる強気の戦略を掲げる。デベロッパー発祥の総合商社ならではの蓄積されたノウハウと顧客に寄り添う施設運営に圧倒的な強みを持つ住友商事が発信する、新たな物流施設のイメージ。SOSiLA厚木飯山は、その第一弾、となる。より高速道路の利便性を追求したコンパクトな「SOSiLA厚木金田」、さらに「SOSiLA厚木上依知」では、マルチテナント型のサンプルプランとして、3階建てボックス型と4階建てスロープ型の2案を想定。入居希望者のニーズを見定めた上で具体的な仕様を固めていく考えだ。

産業界における事業環境が急激に変化する中で、物流施設は、今後の物流ニーズをいかに的確につかんで拠点運営に反映させるかがカギになる。グループの総合力を結集した、太陽光発電をベースとした自然由来の発電システムの導入など、住友商事らしい独自のサービスで商機をうかがう戦術がどんな化学変化をもたらすか。厚木エリアにおける物流拠点開発競争の「台風の目」になりそうだ。

SOSiLA厚⽊飯山の概要
所在地:神奈川県厚木市飯山南3-2469-1
敷地面積:2万5123平方メートル(7599坪)
延床面積:5万8616平方メートル予定(1万7731坪)
構造:S造、地上4階建
交通:東名高速道路「厚木IC」から7.3キロ、首都圏中央連絡自動車道「圏央厚木IC」から7.4キロ
竣工:2023年7月予定
問合せ:https://sosila.com/logistics/syuto/iiyama.php
SOSiLA厚木金田の概要
所在地:神奈川県厚木市下依知1-11-1
敷地面積:9330平方メートル(2822坪)
延床面積:1万9484平方メートル(5894坪)予定
交通:首都圏中央連絡自動車道「圏央厚木IC」から1.3キロ
竣工:2024年7月予定
問合せ:https://sosila.com/logistics/syuto/kaneda.php
SOSiLA厚⽊上依知(仮称)の概要
所在地:神奈川県厚⽊市上依知704-1
敷地面積:3万3259平方メートル(1万61坪)
延床面積:7万121平方メートル(2万1212坪)予定
交通:首都圏中央連絡自動車道「相模原愛川IC」から2.5キロ
竣工:2025年11月末予定
問合せ:https://sosila.com/logistics/syuto/kamiechi.php
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