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ロジスティード「SCDOS」×BIプラットフォーム「Domo」

物流データを新たな価値に、大手3PLの苦悩と挑戦

2023年6月19日 (月)

話題データドリブンとは、大量の砂粒の中から、砂金のひと粒を見つけ出すことに似ている。

多くの人、あるいは企業は、日々の業務活動が生み出すさまざまな情報の中に、経営向上に役立つ値千金の情報が潜んでいることを知っている。知ってはいるものの、大量の情報から砂金のひと粒にあたる価値ある情報を発掘する手間や苦労、あるいは方法論を考えると、尻込みしてしまう。

また、砂金は砂金のままではなく、適切な加工を行うことで本当に輝く。同様に、価値ある情報も、しかるべき形に加工されなければ本当の意味でビジネスに貢献することは難しい。

その価値を知るロジスティード(2023年4月、日立物流より社名変更)は、同社の輸送事業や物流センター運営が日々生み出す膨大なビッグデータを、「SCDOS」(エスシードス)という箱に入れ、クラウド型BI(ビジネスインテリジェンス)プラットフォームの「Domo」(ドーモ)によってビジュアライズすることで、わかりやすい形に情報を加工し、データドリブンを実現した。

▲SCDOSに集められた、輸送・物流センターの膨大なデータを「Domo」によってビジュアライズしたイメージ図

ロジスティードが、データドリブンを必要とする理由

「DX・LT・現場力でグローバルなサプライチェーン戦略パートナーへ」。これは総合物流企業・ロジスティードが中期経営計画「LOGISTEED2024」で掲げるスローガンである。

▲物流情報システムの構築(データ活用)を起点として、サプライチェーン領域全体へ価値を提供していくイメージ(出所:ロジスティード)

DX(デジタルトランスフォーメーション)と、LT(ロジスティクステクノロジー)、そして1950年の創業以来、長年に渡り培ってきた現場力を武器に、「グローバルサプライチェーンにおいて最も選ばれるソリューションプロバイダをめざす」ため、さらなる飛躍を志すロジスティードに求められるのは、3PLのさらに上位にあるLLP(Lead Logistics Provider、4PLとも呼ぶ)だ。

3PLは顧客企業の物流プロセスを包括的に受託することを指す。対して、LLPではサプライチェーンの最適化を目指し、顧客企業の事業企画、あるいは戦略策定にまで踏み込んで、顧客企業を支援する。

ロジスティードが、LLPのベストパートナーを目指す上で必要となったのが、データドリブンである。

▲ロジスティード DX戦略本部 SCイノベーション部 部長補佐の半澤康弘氏

ロジスティード DX戦略本部 SCイノベーション部 部長補佐の半澤康弘氏は、「当社がデータドリブンを行うために必要なデータ基盤を整備し、構築し始めた2019年以前、実は当社自身が、グループ内の陸運会社における日々の輸送情報を一元的に把握し、可視化することができていませんでした」と振り返る。

半澤氏は、自省の弁として話すが、これはそう容易いことではない。

ロジスティードグループは、物流センターを334か所構え、日々稼働するトラックの台数は、自社車両だけで1000台以上にのぼる。結果として、これから説明するSCDOSとDomoで処理されるデータボリュームは、日々数億行ほどになる。半澤氏は、「大したボリュームではないですよ」と謙遜するが、億を超えるデータ数で表現されるビジネスが、そう簡単に把握・可視化できるわけがないのだ。

もうひとつ考えるべきは、TMS(輸配送管理システム)やWMS(倉庫管理システム)といった、既存物流システムの限界である。

ロジスティードでもTMSやWMSは利用している。しかし、実際のところ、TMSやWMSのデータから、事業遂行に有用な情報を導くのは簡単ではない。そもそも、TMSはトラック、WMSは倉庫における「瞬間」を把握するためのものだ。そのため、作業計画、ひいては経営計画と比較し、「ビジネスが順調に進捗しているのかどうか?」を把握することには向いていない。

冒頭でも話したとおり、物流ビッグデータの中には、値千金の情報が潜んでいる。だが、ただTMSやWMS、その他物流システムに分散している状態では、物流ビジネスの舵取りに利用できるような可視化は難しい。

こういった、日々の物流活動が生み出すビッグデータを収納するために、ロジスティードが2019年から整備を開始したビッグデータ活用基盤が、「SCDOS」である。

SCDOS(エスシードス)とは

端的に説明すると、SCDOSは、TMS・WMSなどの物流システムから、日々の物流業務が生み出す多種多様なデータを収集し、結合、あるいは規格化されたフォーマットへとデータ変換をするための「箱」である。

そして、ロジスティードでは、SCDOSをビッグデータ活用基盤として収納し、物流事業者にとって有用で、ビジュアライズされたアウトプットを作り出すために、クラウド型BIプラットフォームの「Domo(ドーモ)」を採用した。

この「SCDOS×Domo」パッケージが優秀なのは、手頃な利用料金とわずかな準備期間で、物流事業者が求めるビジュアライズされた各種のダッシュボードが利用可能な点だろう。半澤氏は、「重厚長大なシステムを構築するよりも、『この分析情報が見たい』といった出口戦略をすばやく実現することが大事です」と語る。

あくまで一般論だが、大規模なシステム開発では、1~2年、あるいはそれ以上の期間をかけて構築するケースがある。こういった重厚長大なシステムは、ときに億円単位の投資を必要とする。ただ、「いざ完成したときには、機能やアウトプットが時代遅れになっているケースが少なくありません」と半澤氏は指摘する。

物流に限った話ではなく、ビジネスは生物(なまもの)である。特にビジネススピードが加速している近年では、1年も経てばマーケットはもちろん、自社の事情も変わり、課題が変質するケースなどは、ざらにある。その結果、大枚をはたいて構築したシステムは、変質した課題に十分な対応ができず、どこかピントがズレたものになってしまう。

一方、「SCDOS×Domo」は、新規ユーザーでも3か月もあれば利用可能という。ロジスティードのノウハウが詰まったダッシュボードがいくつも用意されているだけではなく、さらにいえば、ユーザー自身が新たな「カード」や「ダッシュボード」を作り上げていくことも容易だという。

なぜ、SCDOSはDomoを選んだのか?

「他社のBIも使ってみたのですが、機能や使い勝手に物足りなさを感じました。そんなときに出会ったのがDomoです」(半澤氏)。機能性はもちろんなのだが、半澤氏がDomoについて、もっとも評価しているのは使いやすさだという。

▲ロジスティード DX戦略本部 SCイノベーション部の松井美緒氏

Domoの使いやすさについては、ロジスティード DX戦略本部 SCイノベーション部の松井美緒氏も「Domoのトレーニングを開始した当日に、『これならば扱える!』と思いました。実際、その日のうちに『カード』を作ることができました」と話す。

松井氏は、2022年春に新卒入社。半年間の現場研修の後、現部署に配属されてからわずか一か月で、「エコロジポータル」のテンプレートを作り上げた。

▲エコロジポータルは、CO2排出量をスピーディーかつ高精度に算定し、継続的に排出量削減効果を可視化するソリューション。「SCDOS×Domo」で構築されている

このエコロジポータルに実装されている、すなわち売り物となるテンプレートを、Domoを触り始めてわずかな期間で作り上げることができたのだ。

「SCDOS×Domo」が最強である、3つの理由

実をいえば、Domo単体でも、物流ビジネス向けのダッシュボードを構築することはできる。しかし、リアルタイムに物流ビジネスを可視化するソリューションとしては、「SCDOS×Domo」のタッグが掛け値なく最強だろうと、筆者は考えている。

▲「SCDOS×Domo」によって倉庫の生産性指標を可視化したイメージ

理由は3つある。1つ目は、ノウハウである。「SCDOS=箱」と例えたが、実はこの表現は正確ではない。SCDOSとは、単にビッグデータ活用基盤というシステムだけを指すものではないからだ。SCDOSとは、単なるシステムではなく、物流ビジネスのリーディングカンパニーとして培ってきた、ロジスティードの知識と知恵がたっぷりとつまったノウハウを含む包括的なサービスの名称なのである。「SCDOS×Domo」を利用することで、ロジスティードのノウハウを自社ビジネスで活用できるというバリューはとても大きい。

▲物流データと現場運営ノウハウを組み合わせ、SCM支援の包括的なサービスとして提供するSCDOSの概念図

2つ目はコスト感である。「SCDOS×Domo」の利用料金はリーズナブルだ。ビッグデータ活用基盤を整備するというのは、簡単ではないし、多大な投資を必要とする。余談だが、データドリブンを行おうとしたものの、大手IT企業が提供している既存のビッグデータ活用基盤に対するコストを知り、データドリブンを尻込みしてしまった企業は少なくない。

こうした点について、半澤氏は、次のように答えてくれた。

「『SCDOS×Domo』は、あくまで当社自身、あるいは顧客に対し、DXをもたらすための武器なのです。武器そのものではなく、その武器を使って創り出す価値が、当社の事業領域なのです」

例えば、3PLを受託した顧客に対し、エコロジポータルを提供する。結果、ロジスティードは物流ビジネスにおいて、競合他社との差別化をアピールすることができる。「SCDOS×Domo」の投資は、ソリューション販売による直接的なものではなく、顧客とのビジネス全体で回収する。ビジネスに対し、広い視野を持つロジスティードだからこそ、機能に比べ圧倒的に割安な価格感で、「SCDOS×Domo」を提供できているのだ。

3つ目は、完成度である。「SCDOS×Domo」では、物流ビジネスを可視化する上で有用なさまざまな「カード」が提供されている。

▲リソース(車両)単位の標準原価を表示することで、運送効率との比較から改善点を検証できる「カード」

物流ビジネスに限らず、原価を把握することはすべてのビジネスで必須である。一方で、特にトラック輸送ビジネスでは、原価把握が進んでいないことが問題となっているが、この「カード」があれば、トラック輸送の原価把握を容易に行うことができる。

倉庫運営は、リーダー格となるベテラン倉庫作業員の手腕に依るところが大きく、属人化しやすい。だが、このように倉庫内の充填率、出荷頻度、棚卸差異や誤出荷率などをヒートマップ化すれば、属人化から脱却、より生産性の高い運用を実現できる。

▲倉庫のロケーションマップを表示、可視化したい指標をヒートマップ表示できる

さらに、「もっと◯◯という切り口でビジネス分析を行いたい」という場合には、ITエキスパートではない人でも、かんたんなレクチャーを受ければ、新たな「カード」や「ダッシュボード」を作成することができる。

「SCDOS×Domo」が、物流ビジネスを可視化するソリューションとして最強である理由が、理解いただけただろう。

データドリブンにおける砂金とは、「情報+人材」である

冒頭、物流ビジネスが日々生み出すビッグデータの価値を、砂金に例えて説明した。「SCDOS×Domo」は、玉石混交の物流ビッグデータから、砂金(値千金の情報)を取り出し、その砂金を、例えるならば、貨幣や宝飾品のようにビジネスで価値ある形へと昇華させるツールである。

だが、ここでもうひとつ留意すべきは、砂金とは情報だけを指すものではなく「人」、すなわち人材育成にも通じる点である。

「データドリブンを考えるとき、『誰が見ても分かりやすい』という要素は必須です。『データ活用なんて言われても、私たちはデータなんて取り扱ったことがないからなぁ…』現場実習のとき、私は現場担当者らからこんなボヤキを受け取りました」(松井氏)。

だからこそ、ロジスティードは、データドリブンを推し進めるとともに、データドリブンをより身近なものとして日々活用できる人材育成も大切と考えている。

これは、最近話題の「高度物流人材」といった、特別な教育を必要とする高スキル人材を育成したり、採用したりする話ではない。データを扱うツール自体の難易度を下げることで、ITに苦手意識を持つ、例えば現場担当者らもアクセスしやすい環境を整える一方で、現場担当者らにも無理のない範囲でのスキルアップを果たしてもらう、そんなレベル感の話である。こうしたデータ活用スキルの底上げや苦手意識の克服を、ハードとソフトの両面で実現できるのも「SCDOS×Domo」の強みといえるだろう。

経営層と、倉庫・運送の現場担当者が、データという共通言語を用いて、ディスカッションできる世界を作り上げること。これこそ、ロジスティードが目指し、「SCDOS×Domo」で実現した世界なのだ。(物流ジャーナリスト・坂田良平)

今回紹介したロジスティードのデータドリブンと「SCDOS×Domo」をより深く知りたい人は、ぜひオンラインイベントにも参加してほしい。LOGISTICS TODAY編集部の進行のもと、ロジスティードのようなデータ活用の取り組みが必須となる背景を解説し、実際に現場で使用されている画面を用いながらデータドリブンが生み出す価値を深掘りしていく。

イベント概要
開催日時:2023年7月12日(水)13時〜14時30分
形式:オンライン(YouTubeライブ配信)
参加費:無料
定員:100人(事前申込)
申込期限:2023年7月11日(火)17時
主催:「5年後の物流の話をしよう」実行委員会
(LOGISTICS TODAY株式会社、ドーモ株式会社)
プログラム
■13:00〜14:00
9割が市場から退場?「5年後の物流の話をしよう」
LOGISTICS TODAY 編集長 赤澤裕介
ドーモ ソリューションコンサルティングディレクター 山下進一氏
ロジスティード DX戦略本部 部長補佐 半澤康弘氏

■14:00〜14:30
物流DXの伴走者に「Domo」が選ばれる理由
ドーモ ソリューションコンサルティングディレクター 山下進一氏
ロジスティード DX戦略本部 半澤康弘氏、松井美緒氏

注意事項
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視聴用URLはイベント開催1週間前、開催前日に、「event@logi-today.com」からお送り致します。

※上記内容は、事前の告知なく変更する可能性があります。

■問い合わせ先
LOGISTICS TODAYプロモーション企画室(担当:福田・山村)
event@logi-today.com

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