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Landport横浜福浦/野村不動産

希少スペックで実現する独自の物流チェーン構築

2023年8月2日 (水)

▲「ランドポート横浜福浦」完成イメージ

話題野村不動産が手がける高機能型物流施設、Landport(ランドポート)では、利用企業の業種(カテゴリー)を物件ごと、あるいはフロアごとに特定し、汎用性とカテゴリー特有の機能を付加した個性を併せ持つカテゴリーマルチ型施設の開発を進めて実績を積み上げてきた。マルチテナント型とBTS型の中間ともいえるカテゴリーマルチのコンセプトは、単に標準的なスペックの汎用性ある倉庫を用意するのではなく、エリアや世の中のニーズを冷静に分析するところから開発をスタートし、施設全体の仕様を構築していく。

湾岸エリアでの竣工を控える新しい施設、ランドポート横浜福浦も、エリアの特性やニーズの調査から物件開発を本格化し、地域ならではの特徴を生かした施設として、他の物流施設とは違う「個性的」な機能を備える。汎用性だけでは取り込めない多様化する地域のニーズに応える同施設の魅力を、同社の都市開発第二事業本部の物流事業部事業一課で本物件を担当する2人の担当者、桑原成美氏と安田遼矢氏から聞いた。


▲ランドポート横浜福浦を担当する(左から)安田遼矢氏、桑原成美氏

横浜港・本牧ふ頭へのアクセス優れる好立地

横浜市金沢区の湾岸に位置する福浦は、土地柄、横浜港を中心とした物流網の構築で優位な立地であり、横浜港および本牧ふ頭インターチェンジ(IC)を核とする物流網の構築を考えているなら注目しておきたい場所だ。

「施設は首都高速道路湾岸線『幸浦IC』から2.7キロに位置します。横浜港周辺の物流地帯といえば、川崎市の東扇島エリアが有名ですが、本牧ふ頭ICから東扇島ICまでと、幸浦ICまでの距離と移動時間を比較すれば、距離にして3.2キロ、移動時間にして高速利用で4分程度の違いしかないと考えています。さらに本牧ふ頭ICから本物件までの高速道路の混雑は東扇島周辺の混雑に比べて少ない印象を持っています。本物件の位置する金沢区は横浜港から離れているとの認識をお持ちの方も多いかと存じますが、実質距離や道路の混雑状況を鑑みて、東扇島などの横浜港至近エリアと比較しても、横浜港へのアクセス利便性が高い立地であると考えています」(桑原氏)


▲首都高速湾岸線「幸浦IC」から2.7キロに位置する(クリックで拡大)

近年、大黒ふ頭のコンテナターミナルに加えて、本牧やさらに南本牧ふ頭への貨物集積の重要性も増しており、ますます福浦の利便性が高まると考えられる。

立地エリアは、横浜港を起点とするサプライチェーン構築の好適地であり、元来、自動車関連の機械や資材、原材料などの重量物の取扱が多い場所。「取り扱う荷物によって、使いやすい施設仕様は異なります。ランドポート横浜福浦はかなり個性的な設計としておりますが、周辺荷物や保管形態の調査を実施した上で、エリアにあった施設プランといたしました」(安田氏)

希少な天井高、床荷重の個性派空間

延床面積4万3962.22平方メートル、2階建てという構造だが、まず特徴的なのが、その梁下有効天井高。1階が6.5メートル、2階が8.0メートルという、希少なスペックが採用されている。一般的な5.5メートル倉庫では、1.5メートルネステナーを利用した場合、3段積みが限界となるが、横浜福浦ならば1階で1.5メートルネステナー利用で4段、2階では1.8メートルネステナーでも4段積みが可能となり、保管効率は格段に高くなる。

▲倉庫全体の20%で保管した例。パレット保管数は一般倉庫より33%向上する(クリックで拡大)

「横浜港周辺の倉庫会社さんの自社保有倉庫では、梁下が高い倉庫が数多くあります。そのため、荷物の高積みによる保管面積の有効活用ニーズがあると予測し、ランドポート横浜福浦ではそういったニーズに応えられる施設設計といたしました。単純計算で33%の保管効率がアップするため、保管経費削減に寄与できると考えております」(桑原氏)

また、床荷重に関しては、全階1平方メートルあたり2トンの設計となっており、2.5トンフォークリフトの使用にも対応する。これもまたエリアで希少なスペックであり、重量物取扱の多い地元産業のニーズを吸い上げた仕様となっている。

自動化へのアイデアふくらむ希少空間

この個性的な梁下有効天井高と床荷重の設定は、もちろん前述のようなニーズへの対応でもあるが、「倉庫の自動化・省人化」を前提とした自動化機器やマテハン導入を想定しての設計でもある。

自動倉庫としての運用に焦点を当てた場合、通常の梁下有効天井高5.5メートルの倉庫に設置するのではコストメリットが出にくいとされている。ランドポート横浜福浦では、容積率も余らせた設計としており、8メートルをフルに生かした自動倉庫を導入できるため、コストメリットが出しやすく、深刻化している労働不足に対しても貢献できる。

また、顧客の物流課題に即した自動倉庫以外の自動化機器の提案も行っており、物流効率化を検討する企業をサポートできる体制も整っている。

「横浜福浦だからできる新しい物流ソリューションを、一緒に作り上げていきたい」(安田氏)

入居者が活用することで「完成」する横浜福浦

半径3キロ圏内の労働者人口7.3万人という豊富な人材を抱える地域特性に加え、金沢シーサイドライン「市大医学部駅」から徒歩5分という、物流施設としては特筆すべき通勤の利便性を誇る。また、カフェテリアは2階の南北に設置し、全面ガラス張りで海が臨める眺望を確保。従業員の快適なワーク環境を提供する。

「入居テナント向けのサービスとして、提携する人材募集企業、スキマバイトサービスを通じた支援、空床が発生した際に、転貸・寄託の業務をマッチングさせるサービスも提供できます」(桑原氏)と、雇用面での施設環境、体制も万全だ。

▲浸水の被害を受けにくい立地・構造とした(クリックで拡大)

BCP対策に関しても、敷地内は全面道路より1メートル以上高いグラウンドレベルであるため、ハザード対象外。倉庫床はそこからさらに1メートル上がっているため、荷物の浸水の恐れは極めて低い。

野村不動産が積み上げてきたカテゴリーマルチ施設の取り組みは、ランドポート福浦にも生かされている。ランドポート青梅IやIIでは、工事材や、飲料・重量物を扱う企業を対象カテゴリーとして横浜福浦同様の床荷重を、また青梅IIIでは通販・自動化企業を対象カテゴリーとして、梁下有効高7.0メートルの空間を用意し、順調に稼働させてきた。

大型化・汎用化だけが絶対的な正解とはならない、きめ細かいニーズの拾い上げによって実現する施設提案の経験を取り入れた横浜福浦は、テナントサイドもまた「個性派施設」にふさわしい独自の活用法を構築することで、さらに輝きを放つ物流拠点となるに違いない。

「ランドポート横浜福浦」概要

所在地:神奈川県横浜市金沢区福浦3-11-2ほか
敷地面積:3万3764.96平方メートル
延床面積:4万3962.22平方メートル
構造・規模:地上2階建て、S造、耐震、ビル型
用途地域:準工業・工業地帯
竣工:2023年9月中旬
アクセス:幸浦ICから2.7キロ、金沢シーサイドライン「市大医学部駅」から徒歩5分