ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

運輸業の健康リスク高、周囲サポートの希薄さ要因

2023年9月28日 (木)

調査・データ産業医斡旋などの事業を展開するドクタートラスト(東京都渋谷区)はこのほど、同社のストレスチェック研究所で2022年度にストレスチェックを実施した1162の企業・団体の集団分析データをまとめ、「高ストレス者率」、「健康リスク」について15業種別のランキングを算出。それによると、「運輸業・郵便業」の高ストレス者率、健康リスクはいずれも全業種平均を上回っており、同業種で健康リスクが悪化しているのは「仕事がコントロールできない」、「上司・同僚からのサポートがない」ことに起因しているという結果が出た。

健康リスクのランキングは、企業・団体の中で仕事のストレスから起こり得る疾病休業などの健康問題のリスクを、標準を100とする指標で順位付けした。数値が高いほど健康リスクが高いということだ。22年度の全業種平均は97となったが、運輸業・郵便業は102で、全業種中3番目に高かった。また、健康リスク要因を「仕事の負担・コントロール」「上司・同僚からのサポート」の2つの観点から分析しており、それぞれの数値の全業種平均は98、99のところ、運輸業・郵便業では96、106となっており、上司・同僚からのサポートが少ないことが、健康リスクを大幅に引き上げていることがわかった。また、「上司からのサポート」、「同僚からのサポート」に細分化したランキングでは、いずれも運輸業・郵便業が全業種中でもっとも悪かった。

(出所:ドクタートラスト)

ここでいうサポートとは、職場の上司や同僚とのコミュニケーションの円滑さや、仕事量が多いときの支援の得やすさなどを表しており、つまり上司や同僚と気軽に話せない、忙しいときでも相談できず孤立してしまうなどの状況が生まれやすく、ストレスから健康リスクにつながりやすくなっていることを示している。

仕事の負担・コントロールの観点では運輸業・郵便業は全体平均を下回っており、一見良好なように見えるが、「仕事の負担」と「仕事のコントール」に細分化して見た場合、「仕事の負担」は全業種中で1番良好で、「仕事のコントロール」は全業種中で2番目に悪いという極端な結果が出た。仕事のコントロールの指標の悪化は、自分のペースで仕事ができているか、仕事の順番・やり方を決められているかという項目に基づくもので、道路の混雑状況や、トラックドライバーであれば荷待ちなどに振り回されやすく、その上時間通りの運行や配達が求められるなど、業務の性質による原因が大きいと考えられる。

また、ストレス自覚症状が高いか、あるいは仕事の負担や周囲のサポート状況が芳しくないと判断された人の割合を示した高ストレス者率のランキングでは、全業種平均が15.5%だったのに対し、運輸業・郵便業は16.4%とやや平均を上回った。

■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。

※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。

LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com