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健康リスクの高い業種で運輸は2位、民間調査

2022年8月5日 (金)

調査・データ健康リスクの高い業種は「医療・福祉」に次いで「運輸・郵便業」−−。企業から従業員の健康管理を受託しているドクタートラスト(東京都渋谷区)の調査で、運輸業に関するこんな傾向が明らかになった。

同社がこのほど発表したストレスチェック全業種データ分析でわかった。それによると、ストレスチェックは2015年12月以降、国内の従業員数50人以上の事業所で年1回の実施が義務づけられている。同社が行ったストレスチェックを21年度に受検した32万4642人の結果を分析した。

(出所:ドクタートラスト)

それによると、仕事のストレス要因から起こり得る疾病休業などの総合健康リスク(平均を100と表示)を業種別で比較すると、トップは医療・福祉の107、2位は運輸・郵便業の106、3位は製造業の105だった。逆にリスクが低かった業種は複合サービス事業が83、公務と金融・保険業がともに91となった。

総合健康リスクは複数の指標で構成されている。運輸、郵便業は、このうち「仕事の負担」という指標では、全業種の中で2番目に数値が低かった。一方、「仕事のコントロール」という指標では、医療・福祉に次いでリスクが2番目に高かった。「自分のペースで仕事ができる」「自分で仕事の順番・やり方を決めることができる」「職場の仕事の方針に自分の意見を反映できる」というチェック項目で否定的な回答が多かった。

さらに「上司とのコミュニケーション」という指標では全業種で最も悪く、「同僚とのコミュニケーション」の指標でも全業種で最もリスクが高かった。「上司」「同僚」についての同じ質問を投げかけたところ、どちらも否定的な回答が多かった。「(上司または同僚と)どのくらい気軽に話ができますか?」「あなたが困った時、(上司または同僚は)どのくらい頼りになりますか?」「あなたの個人的な問題を相談したら、(上司または同僚は)どのくらいきいてくれますか?」という3つの質問を投げかけた。

同社は、コミュニケーションのリスクを低減するためには、意見交換の場や業務中の会話を増やしていくことが有効と指摘している。「まずは、社内での簡単なイベントや気軽に発信できる情報共有ツール(グループチャットなど)を活用し、ちょっとした雑談を増やしていくことが職場の雰囲気作りを行ううえで最も効果的なのではないか」と提言している。

調査は2021年4月から22年3月末にかけ、同社がストレスチェック実施サービスの契約企業・団体のうち940の企業・団体に対し、32万4642人の有効受検者の結果を分析した。