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川崎汽船、自らの強み見つめ直し選ばれる船社に

2024年1月4日 (木)

話題川崎汽船の明珍幸一社長による年頭所感の要約は以下の通り。

(以下要約)

▲川崎汽船の明珍康一社長(出所:川崎汽船)

元日に発生しました能登半島地震でお亡くなりになられた方に謹んでお悔やみ申し上げますとともに、被災された方々にお見舞い申し上げます。一日も早い復旧を心から願っています。

ロシアによるウクライナ侵攻の長期化に加え、イスラエル・パレスチナ情勢も非常に厳しい状況ですが、国際社会の連帯と協力による一日も早い平和の実現を心より望んでいます。このような地政学的リスクの高まりと、それによるサプライチェーンへの影響が顕在化し、国際海上輸送の根幹である航行の自由と航海の安全を脅しかねない事態となっています。このような時代だからこそ社会インフラとして持続可能な社会への貢献を改めて認識して、そして足元の変化をチャンスと捉え、海運のプロフェッショナルとして持続的な成長と企業価値向上に向けて考え抜き着実に行動に移していきましょう。

当社は2022年度から始まった5年間の中期経営計画が今年に折り返し地点を迎えます。今期は過熱したコンテナ船市況が平常に戻るなか、自営事業は着実に進ちょくしつつあります。中計最終年度の経常利益の目標値である1400億円については、成長をけん引する役割を担う事業を中心として前倒しで達成し、さらに中計目標値の目線を上げるべく成長戦略の見直しに着手しました。好調なときは抑制的に、市況が悪いときは戦略的に、という投資行動を順守し投資規律を維持することで市況耐性の高い企業として持続的成長を目指すとともに、経営管理の更なる高度化に取り組むことで資本コストとキャッシュフローを意識した事業別責任会計を導入し、資本コストを上回る収益を上げることで企業価値向上を目指していきます。

持続的成長と企業価値向上への取り組みを進めるには、中計で掲げている顧客密着と環境営業の推進、海陸そして技術、営業が一体となった顧客サポートを展開し、当社グループならではの専門機能をいかに磨き上げていくかが重要な鍵となります。今一度、当社としての強みは何か、競争優位性をいかに獲得してお客様に選ばれる船社となるか、自らを見つめ直すことで新たな目標を設定したいと思います。

今年は、新たな環境規制であるEU-ETS制度の適用が始まる環境元年。ノルウェーで始まる世界初のフルスケールCCS事業での液化CO2海上輸送がいよいよスタートします。これまでの取り組みを新たな事業として結実させるとともに、洋上風力発電支援船事業や水素・アンモニアなど新エネルギー輸送事業へと着実につなげていきたいと思います。

昨年フィリピンの海事技術者研修施設である“K” Line Maritime Academy Philippinesは開所30周年を迎えました。安全運航を支える最も大事な要素は「人間力」です。高度な安全・輸送品質の実現には、「人間力」を生かしてきめの細かい安全・品質管理を行うとともに暗黙知のデータ化による先進・デジタル技術が補完するという、いわば「人」と「テクノロジー」の両輪で3極のグローバル・モニタリング体制を強化し、「お客様を第一に考えた安全で最適なサービスの提供」を行っていきます。

最後に人材ですが、グローバル社会を支える重要なインフラを預かるものとして、またアジアを中心とした成長市場で事業をさらに発展させるためには、事業環境の変化に柔軟に対応できる人材の確保・育成が必要です。今年度から“K” LINE UNIVERSITYも復活し、多様な価値観を持った人材が安全で働きやすい環境のもとで持てる能力を最大限に発揮することを目指します。また経営マネジメント研修に加えて、海運実務、乗船研修を充実させ強い海事プロフェッショナル人材の育成を推進、全社員を対象としたDX(デジタルトランスフォーメーション)教育を進めることでビジネストランスフォーメーションへの備えをさらに進めます。

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LOGISTICS TODAY編集部
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