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物流改革へ、企業同士の連携促す「プロロジス共同輸送コミュニティ」第3期開講

共同輸送実践の場で学ぶ、次代の物流構築への一歩

2024年3月13日 (水)

▲プロロジス共同輸送コミュニティの様子

話題「共同輸送に関心はあるが、いざ取り組むとなると、なかなか一朝一夕には進展しない取り組みであることがわかるはず。意義としては共感しながらも、実現にあたって何から始めたらよいのか。そのプロセスや相手の見つけ方も分からないし、成否を分けるポイントについて情報共有されていないのが現状です」と、プロロジスのバイスプレジデントで開発部長の高橋健太氏は語る。

▲バイスプレジデント・開発部長の高橋健太氏

共同輸送の実現を求めるカスタマーの声に応え、プロロジスは「プロロジス共同輸送コミュニティ」を2022年に立ち上げ、ことしで3期目に入る。

そもそも、大手デベロッパーである同社がなぜ、共同輸送をテーマにコミュニティを開催したのか。開発部物流コンサルティングチームのディレクター本庄哲太氏は、「提供しているコンサルティングサービスを通して、共同輸送のご相談を頂いたことがきっかけです。総論としては賛成でも、なかなか具体化しない状況が多くあることを知り、私たちも一緒にそのノウハウを蓄積していこうと考え、コミュニティを企画しました」と語る。

施設開発もコミュニティ主導も、すべて物流改革へとつながる取り組み

プロロジスが日本の物流市場に登場して以降、その取り組みは一貫して物流改革を加速させるための施策であったと言っても良いだろう。先進型大型物流施設を起点にした物流への転換など同社が先導した役割は大きい。どうすれば共同輸送が実現するのか、同社が中立的な立場で旗振り役を担うことにも、荷主主導ではなかなか進展しなかった共同輸送の進展を促す意味がある。

▲開発部物流コンサルティングチームディレクターの本庄哲太氏

キーワードとしての共同輸送に関心はあるが、実行するにあたっては、まず相談すべき場所がない。一緒に輸送する商品の相性だけで考えれば、同業他社あたりがパートナーとなりそうだが、当然競合するライバルでもあり、単なる思いつきだけで進展する計画ではない。「まず、共同輸送が成立していくプロセスを学び、そのプロセスを自分たちの物流で実践する必要があります。そのための仕組みを提供し、共同輸送に前向きな企業同士をつなぐことが私たちの役割だと考えています」(本庄氏)

物流施設を基盤とした改革だけではなく、人的交流や人材育成による業界の変革もまた、同社の一貫した取り組みのひとつ。同社が中立的な立場で、最初は一緒に仕組みを学ぶことから始まった「荷主同士で共同輸送を検討する場所」作りは、実現までの難しさを再認識する機会ともなった。おおまかな部分で共同輸送に合意した企業2社が具体的な検討を始めても、運用の細かい部分を調整する段階で、既存のやり方にこだわるために成立しない事例も多い。

一方で、前回の第2期コミュニティからは、住宅設備関連の2社による共同輸送が最終調整に入っているという。競合する分野も多い2社による連携は、まさに輸送コミュニティが結んだ縁と言えるだろう。

こうした事例を積み上げながら、より成果の出やすいワークショップの進め方など、回を重ねるごとにノウハウを磨き、第3期開催に臨む。

共同輸送の連携が育てる、次代の物流と次代のリーダー

「共同輸送コミュニティ」の場で出会った参加企業があまたの難題をクリアしていく秘けつはどこにあるのか。「共同輸送コミュニティ」は、荷主企業だけを対象に、「少人数制」「対面」での「定期開催」を重視する。参加企業間でのペアワークを促し、共同輸送実現での課題をディスカッションすることから、当事者間における障壁を取り除くために、具体的にどんな思考方法や行動が必要なのかを実践を通して身につけていく。

▲共同輸送コミュニティの展開イメージ(クリックで拡大)

参加する荷主企業側にも「積極性」が必要だ。「まずは、それぞれの企業において、共同輸送実現への意欲があり、極力毎回に参加してもらうことや、自社の物流情報を準備してワークショップに臨んでいただいています。情報公開などでも協力してもらい、お互いの課題をオープンに話し合うことが前提です」(本庄氏)

各社の物流事情の相互理解や、ペアワークでの実践を中心に運営しつつ、共同輸送の仕組み作りで先行するF-LINE(エフライン、東京都中央区)や、NEXT Logistics Japan(ネクスト・ロジスティクス・ジャパン、新宿区)の担当者を招いた講義と意見交換などをカリキュラムに取り入れているのも特徴だ。

▲共同輸送コミュニティの目的イメージ(クリックで拡大)

生きた成功事例や実際に直面している課題から参加者同士が学び合うことが、共同輸送の実現につながり、困難な状況を打破する次代のリーダー育成につながっていく。参考書やテキストには書き残せないような、当事者たちの率直な肉声こそが、これからの世代を担う者たちにとってのかけがえのない指針、アドバイスとなるのではないだろうか。

実現の鍵は「腹を割って話し合う」「経営陣を含め推進する体制を持つ」

「対面でのコミュニケーションも共同輸送実現の大切な要素だと考えています。参加企業にはそれぞれの配送ルートや物量や条件など、マッチングに必要となる情報を開示してもらっていますが、腹を割って話し合うことで、準備していた以外のルートでも何か一緒にできないかと能動的に考えるようになります。直接会って話し合うこと、相手を知り信頼すること、そんな基本的なことが、共同輸送の一番大切な部分になるのではないでしょうか」(本庄氏)

さらに、前述のように、大筋では合意しながらも、既存のやり方からの変化やリスクを避けることで実現しないケースなどを見ると、共同輸送実現にはもう一つ大切な要素があるのではと高橋氏は付け加える。「共同輸送コミュニティを通して、必ずしも短期的な効果が出ない可能性があっても、経営陣含めてまずは共同輸送をやってみることが大事という共通認識がある企業だと、実現に向けた進ちょくが早いことが確認できています。腹を割って話し合う、に加えて、会社として推進する意思も、実現における大切な要素なんだと考えます」

▲ペアワークやグループワークでのディスカッションの様子

共同輸送コミュニティでのディスカッションを深めれば深めるほど、具体化に向けて必要なもの、必要なパートナーのイメージもしっかりと固められ、会期中には実現できなかったような新しい取り組みや挑戦を促すことにもなるだろう。コミュニティとしての参加期間を終えた後も、エリアや業種別でのより実践的な分科会など、新しい枠組みへとつなげていく。

「共同輸送だけではなく、もっと多岐にわたる物流課題や物流のトレンドなど、24年が終わっても常に意識の高い当事者同士が、不定期にオープンに話し合える場所に発展していくことも想定しています。いわば、物流サロンのような、そこに集まれば物流の現在地が確認できる、そんな場所に成長することが理想です」(高橋氏)

共同輸送コミュニティに関する問い合わせ

プロロジス 開発部 物流コンサルティングチーム
pld_consulting@prologis.co.jp