アイオイとタクテック、競合メーカーが協業関係に

イベントアイオイ・システム（東京都品川区、以下アイオイ）とタクテック（文京区）は倉庫システム、マテハン開発の分野の競合メーカーだが、協業関係にあることが本誌の取材によりわかった。

アイオイの吉野豊社⻑とタクテックの⼭崎整社⻑はともに、28日にLOGISTICS TODAYが開催したオンラインイベント「第二回 物流議論『攻めるデベロッパー、守る3PL｜人との共存か、無人化への転換か -人手不足時代の倉庫運用最適解を探る-』」に登壇。物流不動産開発の野村不動産、3PLを手掛けるSBSホールディングスを交えたディスカッション「3PL、デベロッパー、ソリューションベンダーが協調する物流のかたち」において、タクテック・山崎氏から、ピッキングカートを共同開発していることが明かされた。

▲（左から）LOGISTICS TODAYの赤澤裕介編集長、タクテックの山崎整社長、アイオイ・システムの吉野豊社長

タクテックは1年ほど前、医薬品の卸会社からピッキングカートを受注したが、自社が開発したガスシリンダー式のカートゲートでは性能が不十分と判断し、アイオイが開発した電動ゲート導入を検討。結果的にピッキングカートの共同開発に至ったという。

▲アイオイとタクテックが共同開発している「Gカート」

アイオイ・吉野氏が昨年5月に社長に就任した際、競合メーカーとの協調が重要であることを痛感し、就任直後に山崎氏に面会したと語った。吉野氏はタクテックについて「GASシリーズのパッケージが確立されていることに強みを感じる」と評価。また、自社のラインアップを「倉庫によってはややオーバースペックなことがある」とし、「自社の商品と合わせて、リーズナブルなコストで導入できるタクテックのソリューションを並べて販売することを検討している」と併売の可能性を示した。

両社はいずれも、野村不動産が「Landport習志野」内に置いている物流関連企業の協業コンソーシアム「テクラム」に参画。個々での出会いが、協業に至る大きなきっかけになったという。テクラムはロボティクス、センシング、WMS（倉庫管理システム）などを扱うさまざまな企業が参画し、荷主、3PLからの求めに応じて、最適なソリューションを選ぶことができるというのが大きな特徴。両社ともに、テクラムに参画している同業、異業種の企業との協業の可能性も示唆された。

そのほかにもタクテックのワークステーションにアイオイのプロジェクション・ピッキングが導入されているなど、システム上での連携、連動も可能になっている。

吉野氏は他社との協業について「1社だけであらゆるソリューションを提供することはリソース的にも難しい。自動倉庫ロボットのベンダーなども含め、さらに協業の輪を広げていきたい」と、さらなる展開を目指す意欲を示した。また、「ハードの製品だけなく、内部でプログラムの共有なども進めていきたい」

山崎氏もまた「お互いに競うところはシビアに競い合い、顧客への提案をするときには、自社のソリューションにこだわらず、ベストの製品を提案するべき」と協調に積極的な姿勢を見せた。

■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。

LOGISTICS TODAY編集部
メール：support@logi-today.com