国内中日本高速道路(NEXCO中日本)は19日、全線開通から30年が経つ北陸自動車道について、全線開通以来の経済効果が15兆円に達すると発表した。72年の一部開通時と比べると、沿線の製造品出荷額などがおよそ5倍になり、農水産品の全国への輸送量もおよそ8倍に増加。ことし1月の能登半島地震でも、救助・支援車両の移動に使われ、復旧や復興を後押した。
北陸自動車道は滋賀県の米原ジャンクション(JCT)から新潟県の新潟JCTまで、途中、福井、石川、富山の3県を通って結んでいる、全長は476.3キロで、55のインターチェンジ(IC)と26の休憩施設(サービスエリア、パーキングエリア)がある。1972年に小松-金沢西間22.7キロが開通して供用を開始。1994年に全線が開通した。
NEXCO中日本によると、全線開通以来の経済効果を算出すると、およそ15兆円に上る。特に雇用面での貢献が大きく、沿線5県で就業者数はおよそ3万4000人増加した。
また、沿線の製造業の成長にも貢献し、沿線市町村からの製造品・出荷額は2021年には13兆1500億円と、72年の小松-金沢西間開通当初に比べ、およそ5倍となった。沿線では、富山市や新潟市の化学工業や、福井県越前市の電子部品・デバイス製造、小松市の生産用機械器具など、特色ある工業団地の整備も進んだ。
農水産物の輸送量も72年の開通当初時の33万8000トンから22年度には258万2000トンとおよそ8倍に増加。特に野菜・果物は5万1000トンから69万8000トンとおよそ14倍となった。水産物を見ると、大阪市中央卸売市場での北陸4県の取扱高シェアが、ホタルイカが金額で43%、天然ぶりで47%を占めるなど、北陸の特産品のブランド化や販路の拡大に貢献している。

▲全日本トラック協会副会⾧の小林和男氏
全日本トラック協会副会⾧で中越運送会長の小林和男氏は、北陸道の全線開通に合わせて、NEXCO中日本のインタビューに応え、「新潟県からみると、北陸道の開通によって大阪や関西以西との結びつきが強くなり、より身近になった。新潟から九州の直行便などは、北陸道があったからこそできた。高速道路の開通は、物流の拠点性を高め、モノの流れに対して大きく寄与する」と役割を評価。「2024年問題の中で物流を維持するには、高速道路の利用が欠かせず、高速道路に求める役割は今まで以上に大きくなる。災害時も、東日本大震災での北陸道や関越道のように、重要な役割を担う。今後も維持管理を適切に行い、高速道路の役割を発揮し続けてほしい」と期待を述べた。
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