調査・データ東京商工リサーチ(TSR)は24日、2023年度の退出法人(倒産、休廃業・解散)の動向調査を発表、それによると、「倒産」や「休廃業・解散」で市場から退出した普通法人(退出法人)は、4万8444社(前年比1.8%増)で、13年以降の11年間で最多を更新した。ただ、母数となる普通法人数は増加しており、退出法人率は前年と同水準の1.65%だった。
産業別の退出率トップは、情報通信業の3.46%で、次いで、金融・保険業2.61%、卸売業2.09%と続く。コロナ禍の打撃に加え、円安や物価高、物流費などコストアップや人手不足などが追い打ちをかけ、「倒産」が急増し、退出法人数は増加した。13年の退出法人数を基準(指数=100)とした23年の退出法人指数は139.7で、2013年以降の最高を記録した。普通法人の「休廃業・解散」は減少したが、コロナ禍の支援効果が一巡し、過剰債務を抱えた企業が債務を解消できず、「倒産」に追い込まれ、退出数が増えたとしている。
13年と比較した退出指数は190.5では、11年間で2倍近くに上昇した。円安や物価高、物流費などコストアップが各産業の重しになっており、なかでも、退出指数では飼料や肥料を主に扱う農・林・漁・鉱業が172.6で、前年より25.5ポイントアップと上昇幅が最大となった。
なお、同調査による産業別の「運輸業」の23年度法人退出率は1.44%(前年比0.06%増)、法人企業退出指数は120.5(同5.7ポイント増)となった。19年までは震災特需や民間建設投資の高まりに支えられ、指数が100を下回っていたが、コロナ禍以降は、荷動きの停滞や原油価格の上昇に加え、働き方改革による「2024年問題」で深刻な人手不足、人件費上昇に見舞われ、指数が100を超えて退出する法人が相次いでいると分析している。
さらに、ことし上半期もコスト増に起因する倒産数は年間1万人ベースで推移しており、過剰債務の解消にめどが立たない企業など、社会保険料・税金滞納に起因する倒産も急増している。TSRは、政府の中小企業支援の網からこぼれ落ち、経営再建が見込めない企業を中心に、今後も法人の退出率は高水準で推移する可能性が高いと調査をまとめている。
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