イベント10日から13日の4日間、東京ビッグサイトで開催された「国際物流総合展2024」には、ドライバーやワーカーの健康や快適性に着目したデバイス、アパレルも多数出展された。まだまだ暑い日が続き、空調服を扱うブースは多くの人が足を止めていた。トラック輸送ではもともと働き手が集まりにくい傾向があったが、それに追い打ちとなる労働者人口の減少。働き手を集めるためにも、ドライバー、ワーカーへの配慮をしようという気運の高まりを感じる風景だ。
スマートウォッチによるドライバーの体調管理を手がけるenstem(東京都中央区、エンステム)もそうした働き手への配慮につながる製品を扱う企業の1つ。同社が出展したのは「Nobi for Driver(ノビ・フォア・ドライバー)」。同商品は、スマートウォッチでドライバーの心拍や血中酸素濃度を計測、異常を検知すると本人と運行管理者にアラートで知らせるもの。
事故防止を目的とした従来のソリューションには車の動きを追う、いわゆる「動態管理」が多かった。しかし、急ブレーキを踏んだり、車線を大きく外れたりといった、車に異常が出ている段階ではすでに手遅れなことも少なくない。上記サービスは、ドライバー自身に目を向けたという点において革新的といえるだろう。
特にバイタルに顕著に現れるのは眠気のサイン。集中力が低下すると呼吸の頻度が低下し、血中酸素濃度も下がる。同製品はそのサインを見逃さず、ドライバーが眠気を自覚する前に知らせる。異常が”起きてから”ではなく、”起きる前”に先手を打てることが大きな特徴となっている。
新築の倉庫では庫内の温湿度をモニターし、荷物の管理だけでなく、ワーカーの快適性にも配慮しているものがある。倉庫空間だけでなく、ワーカーそのものの体調を把握することで、健康的で快適な労働環境づくりにつなげることもできそうだ。
折しも今年は猛暑となり、空調服などのワーカー向けアパレルの売り上げも好調。新規の参入も増えている。ワーカーの健康や快適性に配慮したソリューションは、これからも注目を集めるだろう。
こうした、ワーカーへの配慮の気運が高まったためか、同製品のメーカーであるenstem代表取締役の山本寛大氏は「去年も出展したが、今回は大きな手応えを感じている。こういったソリューションが世の中に認知され始めている証拠だと思う」と話した。物流業界では人手不足が叫ばれて久しい。給与面だけでなく、労働環境づくりや健康面、快適差への配慮など、ドライバーやワーカーの待遇改善はこれからも求められていくだろう。
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